文字を使わない検索の世界と、ゆるやかなWebの衰退
TechCrunch Japan に以下のような記事が載っていました。
Googleは使わない、SEO対策しているから——Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」
この記事には以下のように書いてあります。
「Googleで検索すると文字が出てくるし、(検索結果は)SEO対策されている。あとはスポンサー(広告)とかが上がってきて…ネットってリアルじゃない。Instagramは検索することで言葉より画像が表示される」
文字を使わない検索の世界
この中で「Googleで検索すると文字が出てくる」という部分、昔からネットに触れていた方であれば「検索結果をテキストで返すのは当たり前だろww」と言いたくなるかもしれませんが、私はこれからは文字を使わない検索や検索結果が増えそうだと考えています。
例えば iPhone の Siri は音声入力で「近くのラーメン屋は?」と尋ねると地図を返してきます。
Instagram は現在はテキストで検索しますが、「現在地付近で最近撮影された写真」を返したり、現在地付近にある人気のスポットをタップして、そのスポットで撮影された写真を返すのは技術的にさほど難しくないでしょう。
Shazam というアプリだと、スマフォに音楽を聴かせると該当の曲名と iTunes のリンクを返してくれます。
最近はディープラーニングも流行っているので、スマフォの画面に指で絵を描くとそれに適した結果を返すアプリもそろそろ出てくるのでは、と思っています。
ゆるやかなWebの衰退
私は、テレビなどのマスメディアが廃れた(と思う)1番の理由は「番組内でヤラセやステルスマーケティングをやり過ぎて信用を失ったから」だと思っています。
そしてWebもSEO業者の方が頑張った結果、本来1位にならないようなページが1位になっていたり、マーケティングを頑張った結果それほど質の高くない化粧品や飲食店がべた褒めされたりしていて、マスメディアに興味を持たない10〜20代の方の中には「結果にウソが多い」と感じてWebページに興味を持たない方も増えているということでしょう。
言い換えると、今は「Web業界やマーケティング会社が力を合わせてWebを衰退に追いやっている最中」だと言えるかもしれません。
1枚の写真のアップに「800枚撮る」のは自然なのか
この記事の面白いところは、「ネット(注: おそらく Google の検索結果やWebページのこと)ってリアルじゃない」と言いながら、以下のような話もしている点だと思います。
GENKINGさんは1枚の写真をアップロードする際、ベストショットが撮れるまで何度も何度も写真を撮り直すという。「ひどいときには800枚くらい(撮り直す)。
「リアルじゃない」というのは「自然ではない」、「個人による生の感想ではなく、業者によるステルスマーケティングっぽい」などの意味だと思いますが、この方は Instagram に写真を1枚アップするために、多い時には800枚も撮影しているそうです。
このような使い方は、既に「個人によるリアルな(=自然な)写真」を超えていると私は思います。
これからの話
個人的にも、「Google の検索結果は破綻し始めている」と感じているところだったのでこの記事はタイムリーでした。
私は、Webの衰退を食い止めるには「Google とは全く異なる方法でWebページを評価する検索エンジン」が必要だと感じています。 そういった意味で、Wikipedia 財団による新しい検索エンジンなどに期待しています。