Adobe Photoshop CC が公開されたので、早速レポートです。
Photoshop CCは、見た目はほぼ Photoshop CS6 と同じですが、パネルを使用したシェイプサイズの変更や角丸の再編集など、Webデザイナーにとっても地味に便利な機能が追加されています。
パネルを使用してシェイプサイズを変更・移動
これまで、長方形などのシェイプのサイズを数値指定で変更するには、Ctrl+Tキーなどを押して自由変形モードにし、「基準点」の「左上」をクリックしてからサイズを変更する必要があり、手間がかかりました。
私の場合は、自作の JSX(スクリプト)でシェイプサイズを変更していたのですが、Fireworks のプロパティインスペクタや、Illustrator の変形パネルのようなものを作ろうかと思っていた矢先に標準機能として搭載されました。
新しいパネルが増えたのではなく、長方形などのシェイプを選択すると「属性」パネルがこのようになります。
属性パネルは、現在の状況に応じて内容が変化するパネルです。
基準点の変更も必要なく、角丸長方形も角を崩すことなくサイズを変更できます。
XY座標を指定して移動もでき、かなり便利です。
角丸の変更
シェイプを選択した時の属性パネルでは、角丸の半径も変更することができます。
「角丸長方形」だけでなく、このパネルを使って「長方形」を角丸長方形にすることもできます(レイヤー名はそのままです)。
角の丸みも、それぞれ角ごとに設定できます。
「10px10px10px10px」のような部分がありますが、ここは「10」と入力してEnterキーを押すと「10px10px10px10px」のようになります(環境設定で、単位を pixel にしていた場合)。
「10 14 10 14」と入力してEnterキーを押すと「10px14px10px14px」のようになります。
手ぶれ写真の補正
メニューの「フィルター>シャープ>ぶれの軽減…」を選択すると、「ぶれの軽減」ダイアログが起動します。
「ぶれの軽減」は、カメラ自体が動いてしまったようなぶれを補正するためのもののようで、ぶれの方向を指定する必要がないことから、自動的に取得しているのではと思っています。
しかし、色々な写真で試したのですが、斑点が出てきたり、シャープになりすぎたり、ぶれが残ったりしてうまくいかない場合が多かったです。
もし、コツを掴んだ方がいらっしゃったら教えてほしいです。
スマートシャープと画像解像度
ぼやけた画像にシャープをかけるときに使用する「スマートシャープ」のアルゴリズムが変わり、今までより綺麗になっています。
左が Photoshop CS6、右が Photoshop CC
写真は ぱくたそ より
そして「イメージ>画像解像度」ダイアログも変わり、変更後のサイズに応じて再サンプル方法(バイキュービック法・ニアレストネイバー法など)を自動で選択することもできるようになっています。地味に便利です。
いまいちなところ
ここまでは良いところについて書いてきましたが、まだ不満もあります。
シェイプを選択した時の属性パネルで、数値入力エリアをクリックしてからカーソルキー↑↓を押すと数値が1ずつ増減しますが、この時リアルタイムにシェイプのサイズが変化しません。
Enterキーを押して、はじめてシェイプのサイズが変化します。
「192+24px」のような四則演算もできません。
四則演算したければ、自作のスクリプト(JSX)を使用したほうがよさそうです。
シェイプを選択した時の属性パネルは他のパネルに比べて横幅を小さくすることができず、ウインドウ右側にドッキングして表示させていた場合、作業できる範囲が少し狭くなってしまいます。これは改善してほしいです。
Photoshopは何を目指しているのか
Photoshop CC のページタイトルには以下のように書かれています。
画像編集・加工ソフト | Adobe Photoshop CC
そして、ページ内の文章の1行目には次のように書かれています。
「もっと自由に、さらなるパワーとスピードで、想像を超えた画像制作を実現」
アプリケーション名こそ Photoshop ですが、「写真編集」という言葉が出ていません。
Photoshop は、単なる写真編集アプリケーションではなく、万能な画像制作・編集アプリケーションを目指していて、その用途の1つとしてWebデザイン制作にも使えるように進化しているのではないかと思っています。
Photoshop CC では、シェイプのサイズ・位置・角の丸みなどが属性パネルから変更できるようになったことで、かなりWebデザイン制作においても使いやすくなったと思います。
私はここ1週間ほど Photoshop CC を使用していますが、特に深刻な不具合もみられませんし、Webデザインに Photoshop を使用しているすべての方はもちろん、Fireworks から別のアプリケーションへの移行を検討されている方にも自信を持っておすすめできます。