MacBook Pro Late 2016レビュー: おっとTouch BarとUSB-Cの悪口はそこまでだ

MacBook Pro 13インチ Touch Bar モデル(Late 2016)を11/17から使用し、3週間ほど経過したのでレビューを書きました。

MBPの購入を検討している方で、特に「Touch Barってどういうものだろう?不便はないのだろうか?」とか「USB端子が変わったことによるメリットとデメリットは?」という事が気になる方に参考になるように書いています。約15,000文字あります。

MacBook Pro Late 2016

Touch BarとUSB-Cについて多くの人が誤解していること

レビュー本文の前に、まず大手メディアが報じているMacBook Pro、Touch Bar、USB Type-C(以下USB-C)に関する記事を読んでいると、明らかにまともにMacBook Proを使用せず書かれているとしか思えない、間違いだらけの記事や質が低い記事が多すぎます。

例えば 以下のようなことが書いてある記事は完全に間違っており、記者やライターがMacBook Proをまともに使用せず記事を書いた可能性が高い です。

  • MacBook Proの薄いキーボードはMacBookのキーボードと同じである
  • Touch Barモデルはescキー、ファンクションキーがないため一部の操作ができない、Vim使いが困る、動かないアプリがある等

また、以下のようなことが書いてある記事は半分正しいが、半分間違っている といえます。

  • USB-CはこれまでのUSB-Aと端子の形状が異なるためアダプターを経由して接続しなければならず、配線がごちゃごちゃになる
  • MacBook Proを使用するためにはたくさんのアダプターを購入する必要があり、ムダなお金がかかる
  • これまでF7キーでカタカナ変換していた人は、Touch Barではタッチタイピング(キーボードを見ずに文字を打つこと)できず効率が下がる
  • Touch Barは将来は便利になるかもしれないが、現状対応しているアプリが少ないためメリットは少ない
  • 新しいキーボードは音がうるさく、長時間使用していると指が痛くなる

以上のような記事を書いている方は、おそらくMacBook Proを使用してはいますがまだ短時間しか使用していないか、「MacBook Proの変更された部分 = 改悪である」と決めつけていて、変更されたことによるメリットを全く考えようとすらしていないといえます。

なぜ上記のことが「半分正しいが、半分間違っている」といえるかは、この記事で述べていきます。

今回選択したMacBook Proの性能について

今回は、 サブマシンということでMacBook Pro 13インチTouch Barモデルの1番低いスペックのものを選択しました。
Apple Careと消費税込みで21万円と少しです。

  • MacBook Pro (13-inch, Late 2016, Four Thunderbolt 3 Ports)
  • CPU: 2.9 GHz Intel Core i5
  • メモリ: 8 GB 2133 MHz LPDDR3
  • GPU: Intel Iris Graphics 550 1536 MB

主な用途は以下の通りです。

  • セミナーに参加者として参加した時にメモを取るため
  • ブログを書いたりなどの原稿執筆のため
  • Webデザインスクールの授業で講師として使用するため

MacBook Proが発表される前はMacBookも検討していたのですが、講師として使用する時にPhotoshopとIllustrator、iOS Simulatorなどを同時に起動する時にスペックの不安があるのでMacBook Proの発表を待っていました。
発表後、Touch Barをすぐに試してみたかったためすぐに注文し、11/17に届きました。

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キーボードに関して

ここからレビュー開始です。まずは新しいキーボードに関して。

キーボードは新しい第2世代のバタフライ構造を採用しています(MacBookは第1世代)。
見た目は MacBook に似ており、ストロークも浅いですが打ち心地や完成度はMacBookとはかなり違います。

例えば、MacBookではスペースキーの端を軽く押した時まれに反応しないことがありますが、MacBook Proではそういう事はほぼありません。軽いタッチでも確実に反応します。

キーストロークは以前のMacBook ProやMacBook Airに比べれば浅くなっていますが、打ち心地はこれまでのMacBook、MacBook Pro、MacBook Air、PowerBook G4などと比べて最も打ちやすいと感じています。
その理由は、やはり軽いタッチで確実に反応するからということと、ストロークの深いキーボードに比べて少ししか指を動かさずに済むので手が疲れにくいということがあると思います。

キーボードに関するネガティブなレビューとその真相

新しいMBPのレビューを読んでいると、キーボードに関して「キーを打ったときの音がうるさくなった」というものと「静かになった」というものがあります。

これはどういうことかというと、今までと同じ強さでキーを打つとこれまでのMacBookよりもうるさく感じると思います。
しかし、新しいキーボードは軽く触れただけでもきちんと入力することができます。という事は、キーはこれまでに比べて 非常に軽いタッチで触れるだけで良い ということになります。
例えるなら、マシュマロを軽くもちあげるときの力程度で充分です。優しいタッチで入力した場合これまでよりもキーの音は静かになります。

大手メディアのレビュー記事では、「キーボードを長時間打っていると指が痛くなった」というものがありましたが、なぜキーを打つ力を弱くしようと思わないのか本当に不思議でなりません。

Touch Barに関して

Touch Barとは何か?という問いに対しては、MBPのページの一番上の動画の中で「これまで隠れていたコマンドが見えるので簡単に使えるようになり、カスタマイズもできます」という説明がされていますが、これが最も分かりやすいと思います。

MacBook Pro – Apple(日本)

コントロールストリップ

Touch Barは「システムボタン(通常escが表示されている)」と「Appコントロール」と「コントロールストリップ」の3つにわけられます。
まずは「コントロールストリップ」の解説から行います。

タッチバーの解説

これまでのMacBookなどは、標準の設定ではファンクションキーが[音量][画面の明るさ][キーボードの明るさ]などに割り当てられていました。
コントロールストリップは、これをイメージしていただけると分かりやすいと思います。

コントロールストリップは、通常は4つのボタンが表示されています。
例えば、[音量]や[画面の明るさ]のボタンをタップすると、それぞれスライダーが表示されます。
スライダーを操作した後は、[×]ボタンを押さなくても2秒くらいで元の表示に戻ります。

そして、バックグラウンドでiTunesで音楽を再生している時やSafariでYouTube動画を再生している時などは5つ目のボタンが表示されます。
これをタップすると、シークバーと[再生/停止]ボタンが表示されます。

Touch Bar

コントロールストリップの左端にある[<]ボタンをクリックすると、コントロールストリップがTouch Barいっぱいに展開されます。

Touch Barコントロールストリップ拡大

mbp2016-14

コントロールストリップの内容をカスタマイズしたいときは、[システム環境設定>キーボード>コントロールストリップをカスタマイズ…]をクリックするとカスタマイズ画面が表示されます。
ここで、画面の右下に(つまりTouch Barのコントロールストリップ部分に)アイコンをドラッグするとボタンの入れ替えができます。

コントロールストリップのカスタマイズ

Appコントロール

Appコントロール領域はアプリケーションによって、また状況に応じて表示される内容が変わります。

Touch Bar Mailアプリの場合

例えば、標準の「メール」アプリでは起動直後のメール一覧の画面では[新規メッセージ]や[全員に返信]のボタンが表示されています。

[新規メッセージ]をタップして新規メール作成ウインドウが起動すると、テキストのスタイル変更ボタンが表示されます。

ちょっと驚いたのは、SafariでEvernote Webアプリ版を表示し、テキストを編集している時もテキストのスタイル変更ボタンが表示され、箇条書きリストを番号付きリストに変更などできたことです。
どうやって「テキストにスタイルを付けられる状態である」かを取得しているのかは不明です。

Appコントロールの右端にある[キーボード]ボタンをタップすると、それ以降新規メール作成ウインドウでは入力した文字の[ひらがな][カタカナ][半角カナ][全角英数][半角英数]が表示されます。

Touch Bar日本語入力

これまでの「F7キーでカタカナ変換」などは、F7キーを押すとカタカナ変換できるということが画面上に表示されておらず分かりにくい、初心者には分からないといった問題がありましたが、分かりやすくなったといえます。

アルファベット入力時には単語補完や推測候補が表示されます。
絵文字ボタンをタップすると絵文字の一覧が表示されます。カテゴリ別の表示も可能です。

escキーとファンクションキー

Touch Barの左端は「システムボタン」といいます。ここは通常escボタンが表示されています。
「escキーがなくて困るのでは」ということを心配されている方が非常に多いですが、左端には常にescまたはそれに相当する機能のボタンが表示されていると考えて良いと思います。

例えばSafariでYouTubeの動画をフルスクリーン再生した場合、Touch BarなしのMacの場合は動画再生のたびに毎回[escキーでフルスクリーン解除]と画面に表示されますが、Touch BarありのMBPの場合画面上の表示はなく、escキーが表示されていた場所に[フルスクリーン解除]ボタンが表示されます。

YouTube再生の場合

ファンクションキーが必要になった場合は、fnキーを押せばF1などのファンクションキーが表示されます。

Touch Barファンクションキーの表示

Touch Barの目的: 文字入力・文字編集の場合

Touch Barの目的は、冒頭にも書いた通り「これまで隠れていたコマンドが見える」ことです。

例えば、「F7キーでカタカナ変換できる」ということはWindowsを長く使用していた方であれば常識かもしれませんが、画面のどこにも「F7キーでカタカナ変換できる」ということは書かれておらず、初めてPCを買った方がそれを知るのは難しいです。

Touch Barの場合、日本語入力を始めるとこのようにひらがな、カタカナ、半角カタカナ、全角英字、半角英字などの候補が表示されます。これなら、Macを初めて買った方でも一目でカタカナ変換の方法がわかります。

そして、テキストエディットなどのTouch Bar対応アプリではキャレット(文字の入力位置を示す縦棒のこと)の位置の単語の再変換候補も表示されます。
これまでも[かな]キーの2度押しで再変換はできたのですが、それを知らない方でも再変換機能を利用できるようになりました。

Touch Barの目的: 押しづらい位置にあるボタンや、メニューの奥にある機能にアクセスしやすくする

例えばAdobe IllustratorでWebデザインカンプを制作している場合、重なり合ったオブジェクト(長方形など)を選択して[裏面に配置]したり、[最前面に配置]したりといった作業を行うことがよくあると思います。

そういう時、Illustratorの[裏面に配置]や[最前面に配置]のキーボードショートカットはなかなかわかりづらいです。
特に、日本語キーボードでは[前面に配置]が command+]、[裏面に配置]が command+[ なのが逆のように感じられて直感的ではなく、覚えにくいという方も多いかもしれません。

Adobe Illustrator CCは執筆時点ではTouch Barに対応しておらず、2016年内対応予定となっていますが、Illustratorと似たようなAffinity DesignerというアプリはすでにTouch Barに対応しています。

Affinity Designer

Affinity Designerの移動ツールでオブジェクトを選択するとTouch Barに[裏面に配置]や[最前面に配置]などのボタンが表示されます。
オプションバーまでマウスカーソルを移動したり、キーボードショートカットを使わなくても、Touch Barに触れるだけで[裏面に配置]や[最前面に配置]などが実行できるため楽だし早いです。

Touch Barのカスタマイズ

この記事を読んでいる方であれば、「そんなのキーボードショートカットを使ったほうが早い」と感じる方もいるかもしれません。
そういう方はぜひTouch Barのカスタマイズを試してみてください。

Touch Barに対応している多くのアプリの場合、メニューの[表示>Touch Barをカスタマイズ]かからカスタマイズができます。

また、コントロールストリップ部分は[システム環境設定>キーボード>コントロールストリップをカスタマイズ…]からカスタマイズできます。

私は[入力ソース]が右端に表示されるようにしていますが、そうすると[あ]や[US]など入力モードがTouch Barに常に表示されるので便利です。
この部分は、タッチすると入力モードを切り替えることができますので、USキーボードのMBPを使用している方にも便利かもしれません。

私の場合、画面を広く使いたいのと記事などの執筆に集中したいので、環境設定でメニューバーを自動的に隠すようにしているのですが、その場合でもキーボードの右上(Touch Barの右端)に入力モードが常に表示されているのは地味に便利です。

Apple以外のアプリはTouch Barに対応しているのか

大手メディアの記事には「Apple以外のアプリはTouch Barに対応していないため…」とか「筆者はApple製のアプリはあまり使用しないのでTouch Barの恩恵に預かれないが…」などど書かれていますが、Mac App StoreではTouch Barに対応したアプリがApple以外のものも含め紹介されています。

Mac App Store

ここには紹介されていませんが、私がApp Storeで配布されているTouch Bar対応のアプリで重宝しているのは CotEditor(テキストエディター)です。
Swift言語で作り直されたCotEditorは、Sierraではタブに対応しているほかTouch Barにも対応しており、スライダーによるフォントサイズの変更、コメントアウトなどに対応しています。

この記事もCotEditorを使ってMarkdownで書いていますが、余計なスペースや改行が含まれていないか確認するために、Touch Barで[不可視文字を表示]をタッチして一時的に改行やスペースなどの不可視文字を表示させるときなどに使用しています。

Touch Barに対応していないアプリではメリットがないのか、カスタマイズはできないのか

Touch Barに対応していないアプリでも、保存する、閉じるなどのmacOSのダイアログではTouch Barにダイアログのボタンが表示されます。

普段使っているアプリがTouch Barに対応してくれそうにない、あるいは自分が好きな機能をTouch Barに割り振りたいという場合、BetterTouchTool を使えば好きな機能をボタンとしてTouch Barに表示することができます。

キーボードショートカットやトラックパッドのジェスチャの場合、3ヶ月も経つと忘れてしまったりしますが、Touch Barに[アイコン+テキスト]で表示されると非常にわかりやすいです。

設定方法は、BetterTouchToolを最新版にアップデートしてから起動して[+]ボタンからアプリを追加し[TouchBar]とアプリ名をクリック、[+ Add TouchBar Button]からアイコンと「Next」のようなテキスト、キーボードショートカットキーを設定するだけです。
プログラムのようなものを書く必要は一切ありません。

BetterTouchTool設定画面

Touch Bar対応アプリの場合は、なんと アプリ側で用意されたボタンとBetterTouchToolで設定したボタンの両方が使用可能 なので大変便利です。

escキーやファンクションキーがないと不便ではないのか

かなり心配している方が多いようなのでこちらの件も触れておきます。
結論としては、特に問題ありませんでした。

まずescキーは、ほぼずっとTouch Barの左端に表示されています。
「Touch Bar非対応のアプリではescキーが出ないのでは」と心配されている方もいらっしゃるようですが、非対応のアプリでもTouch Barは表示されます。

escキーが表示されないケースとしては、先ほども書きましたがSafariでYouTubeの動画をフルスクリーン再生したときにescキーが[フルスクリーンを解除]ボタンに変わります。

このボタンを押すと動画のフルスクリーン再生が解除されます。つまり 役割としてはescキーと同じ ということになります。

「で、何かメリットはあるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えばGoogle ChromeでYouTubeの動画をフルスクリーン再生すると、毎回画面上に[フルスクリーンを解除するにはescキー]のような表示が毎回数秒間出てきて、私はこれが非常に鬱陶しいと思っていました。

しかし、Touch Bar + Safari環境ではこれが表示されなくなり、動画が観やすくなりました。
動画の途中でスキップしたくなった場合も、マウスカーソルを動かして動画の上にかぶさるシークバーを表示させる必要はなく、Touch Barに表示されたシークバーからスキップできます。

ファンクションキーに関しては、fnキーを押している間は表示されます。
また、例えばターミナルや仮想PCアプリなどでファンクションキーをずっと表示しておきたいという場合、[システム環境設定>キーボード>ショートカット>ファンクションキー]からアプリを追加すれば、そのアプリがアクティブな間はずっとファンクションキーを表示させておくことができます。

escキーが押しづらいのではないか

escキーが小さく、物理キーではなくTouch Barになったことでタッチタイピング(キーボードを見ずに入力すること)しづらいのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、まずescキーは小さくなっていません。

実は、escキーの左側の何もないように見える部分もescキー判定になっています。
escのヒット範囲を黄色い線で表すとこんな感じです。

escのヒット範囲

つまり、日本語キーボードの場合「1キーの上」の部分はまるまるescキーです。
私の場合、タッチタイピングでTouch Barのescキーを押していますが、特にタイプミスなどはありません。

「どうしてもescキーは物理キーでないと嫌だ」という方は、[システム環境設定>キーボード>装飾キー]からCaps Lockキーなどにescを割り当てることができます。

日本語キーボードの場合、Caps Lockは左下にあるため「escを物理キーで押したい時は左上のかわりに左下」と覚えておけばそれほど違和感なく使用できるかと思います。

F7キーがタッチタイピングできないので、カタカナ変換する時不便ではないのか

これに関しては、そもそもタッチタイピングしている方がF7キーでカタカナ変換しているというのがおかしな話です。

一般的にタッチタイピングするときのホームポジションは、右手人差し指をJキー、中指をKキー、薬指をLキー、小指を;キーに置くはずです。
そして、Macの日本語入力は初期設定でカタカナ変換がcontrol+Kキーになっています。ということは、左手の小指でcontrolキーを押しながら右手の人差し指でKキーを押せばカタカナ変換ができます。F7キーを押すよりも圧倒的に指の移動が少なく、ホームポジションが崩れません。

macOS Sierraの日本語入力で、もしcontrol+Kキーでカタカナ変換にならない場合、メニューバーの[あ]をクリックして[”日本語”環境設定を開く]から[Windows風のキー操作]のチェックを外してみてください。

この設定の場合、ひらがな変換がcontrol+J、カタカナ変換はcontrol+K、全角英数字はcontrol+L、半角英数字はcontrol+;となるためホームポジションのまま押しやすく、わかりやすいと思います。

他の日本語入力システムを利用している場合は、設定でキーボードショートカットを変更してみてください。

USB-C端子に関して

MBP Late 2016には、従来のUSB Type-A(以下USB-A)端子や mini Display端子、SDカードスロットはなく、USB Type-C(以下USB-C)のみになりました。

これに関して、「使用上困るのでは」と心配されている方がとても多いようですが、私はそれほど問題にはならなかったです。
むしろ USB-AからUSB-Cに変わったことによるメリットの方が大きい と感じています。
ただし、注意点もあるため合わせて以下にまとめました。

USB-Cとは

USB-Cは、USB-Aとは異なり以下のような特徴があります。

  • 端子が小さいため薄型の機器にも搭載できる
  • 上下逆にさしても問題なく動く
  • PCから周辺機器の充電だけでなく、反対方向の充電や給電が可能
  • 映像出力も可能(USB-Aでも無理やり映像出力することはできたが高い負荷がかかる)

従来のUSB機器を接続するには

おそらく多くの方が気になっているのは従来のUSB機器をどうやって接続するかということかと思います。
まず最初に思い浮かべるのがApple公式の USB-C Digital AV Multiportアダプタ だと思いますが、これをMBPに接続すると…

…まあダサいですよね。
他社から似たようなマルチポートアダプターが発売されていますが、Amazonのレビューを読むと「発熱がひどい」といったものが多いです。
そして、このようなマルチポートアダプターは値段も高いです。

私は、マルチポートアダプターの代わりに安価で小型のUSB-C to USB-AアダプターとHDMIアダプター(プロジェクターへの接続に使用)を購入しました。

USB-C to USB-AアダプターとHDMIアダプター

例えばこれまで使用していたUSB 3.0のモバイルハードディスクを接続するにはUSB-C to USB-Aアダプターを使用します。

モバイルHDDとの接続

このような小型のUSB-C to USB-AアダプターはAmazonで298円くらいから購入できるので、MBPをメインマシンにされるのであれば、USB-C to USB-Aアダプターを従来のUSB機器に接続しておけば特に不便なく使用ます。
USB-Cは上下逆にさしても大丈夫なため、利便性は悪くないと思います。

Amazon: dodocool USB 変換コネクタ, マイクロusb 変換コネクタ, タイプ-C デバイスに対応(シルバー)(現在は価格が変わっているようです)
Amazon: Patech USB-C & USB 3.0 変換アダプタ Type-Cアダプタ 変換コネクタ USBケーブル 裏表関係なく挿せる 高速転送可能
Amazon: USB 3.1 Type-C to HDMI変換アダプター MEIYE ビデオコンバータ4k解像度に対応 音声出力

追記: マルチポートアダプターは使い方によっては便利

MBPを自宅でも使用している方の場合、マルチポートアダプターを使用すると接続を1回で済ませられるため便利かもしれません。

USB-Cになると、アダプターなどで出費がかさむのではないか

おそらく出費がかさむことを心配されている方も多いと思いますが、実際それほどではありませんでした。

USB-C to USB-AアダプターはAmazonで298円でしたし、HDMIアダプターは私の場合は見た目を重視して2400円くらいのものを購入しましたが、安いものは1000円台からあります。

むしろ以下に述べるメリットがあるため、ある意味お金を節約できたといえます。

USB-Cのメリット: モバイルバッテリーから給電できる

MacBook Airを使っていた頃コンセントのない場所で充電するためにはHyperJuiceなどの特殊なバッテリーが必要でしたが、それは2万円以上で非常に重いため気軽に購入できず、何度も購入するか迷っては結局買わず、長時間のセミナーなどでバッテリーが足りなくなった時はMBAの使用をあきらめていました。

私の場合、「MBAのバッテリーを50%程度充電できれば十分なので、軽量で安価なバッテリーが欲しい」とずっと思っていたのですがそれに合致する製品がなかったのです。

しかし、USB-Cポートを備えたMBPではiPhoneやiPad用に購入した2.4A出力のモバイルバッテリーでも給電ができました。
これはAmazonで1980円で購入したもので、10,000mAhですが軽量で持ち歩きやすく、MBP13インチのバッテリーを約50%分充電することができました。

モバイルバッテリーとMBPを接続するにはUSB-Aオス to USB-Cオスケーブルが必要ですが、Amazonで2本で998円で購入できました。

CHOETECH の USB Type C ケーブル

CHOETECH の USB Type C ケーブル

Amazon: CHOETECH の USB Type C ケーブル 【 2本セット 1.2M 】

Anker PowerCore 10000

Amazon: Anker PowerCore 10000 (10000mAh 最小最軽量 大容量 モバイルバッテリー) (現在は値段が変わっています)

厳密には充電ではなく給電なので通常の充電に比べると約半分のスピードですが、普通にWeb制作している程度であればこれで十分です。

USB-Cのメリット: 充電用のACアダプターを買う必要がなく、重いものを持ち運ぶ必要もない

私の場合自宅兼事務所と教室にそれぞれMBA用のACアダプターを置いています。

今回MBPを購入したことで「またACアダプターを買わなきゃいけないなぁ、高いだろうなぁ」と思っていたのですが、そもそも購入する必要はありませんでした。

以前から持っていたiPad用のACアダプターにAmazonで2本で998円で購入したUSB-Aオス to USB-Cオスケーブルを接続して給電すれば、特に問題なく使用できたからです。

MBPはモバイルバッテリーはもちろんiPad用のACアダプターUSB充電器などいろいろなものから給電することができます。ということは、重いACアダプターを持ち歩かなくてもケーブル1本持って出かければたいていどうにかなる ということです。

なお、重い作業した場合は給電で間に合うのか調べてみました。
2.4Aのモバイルバッテリーで給電しながらBlenderを使用して3DCGのレンダリング作業(Cycles CPUレンダリング: CPU使用率370%前後)を行ったところ、バッテリーの残りは増えはしないが減りもしないという感じでした。

ディスプレイのみスリープ状態にして同様のレンダリング作業を行ったところ、バッテリーは少しずつ回復しました。

USB-Cのメリット: 左右どちらからでも充電可能

Touch BarモデルのMBPの場合、USB-Cポートが左右に2つずつあり、どこからでも充電可能です。

私は、MBAが左側からしか充電できないことに少し困っていたのですが、MBPは左右どちらからでも充電できるので非常に助かっています。

Touch BarなしのMBP13 Late 2016モデルの場合、左側にのみUSB-Cポートがついています。

USB-Cの注意点: 外部ディスプレイへの接続

私の場合、HDMIアダプターを使用してプロジェクターに720p・1080pで接続し問題ないことを確認しましたが、4KディスプレイにHDMIで接続する場合は60fpsで出力できない(30fpsまたは24fpsになる)ようなのでご注意ください。

USB-Cケーブルで接続できる4Kディスプレイの場合、60fps出力ができるものもあります。

また、AppleのUSB-C to Thunderboltケーブルでは映像出力ができませんのでご注意ください。

USB-Cのメリット: 外部ディスプレイを使用する場合は配線がすっきり

Apple Storeなどで販売されているLGのUSB-C対応4K/5Kディスプレイの場合、USB-CケーブルでMBPと接続すると MBPから外部ディスプレイへの映像出力と、外部ディスプレイからMBPへの充電がケーブル1本で済みます。

これまでのように、映像出力と電源ケーブルを別々に接続する必要がなくなるため、外に持ち出していたMBPをサッと家でも使いたい時に便利になり、配線もすっきりします。

MagSafeは?

これまでMacBook ProやAirで使用されていたMagSafe端子(ACアダプターを接続する部分が磁石になっていて外れやすい)は廃止になりました。

MagSafeのおかげでテーブルからMacBookが落下せず済んだことのある方は結構嘆いている方が多いですが、個人的にはMagSafeはあまりにも外れやすすぎて困ることもあったので、そこまで不満ではないという感じです。

「MagSafeでないと困る」という方は、Amazonなどで販売されているUSB-Cマグネット端子をMBPに接続しておくと良いかもしれません。

Griffin Technology BreakSafe Magnetic USB Type C Cable

Amazon: Griffin Technology BreakSafe Magnetic USB Type C Cable (マグネット式Type-C電源ケーブル)

USB-Cケーブルの品質について

USB-Cのケーブルは、メーカーなどによって品質に大きなばらつきがあるようです。
購入する際はAmazonのレビューや以下のページなども参考にしてみてください。

GoogleのエンジニアがAmazonで片っ端からType-C USBケーブルをレビューしている
ゲーマーのためのUSB Type-Cケーブル購入ガイド。安心して使えるのはどれか,全29製品で安全性を検証

Touch IDに関して

Touch Barの右端の黒い部分は電源ボタン兼Touch IDになっており、指紋認証でログインできるほかApple Payで決済ができる(App Store、iTunes Storeはもちろん、Safariの場合は対応したECサイトでも決済可能)ようになっています。
Apple Payを使用するためにはマスターカードが必要で、VISAカードではダメでした。

1Password Touch IDでロック解除

私が最も便利だと思っているTouch IDの使い方は、1Password というパスワード管理ツールでマスターパスワードの代わりに指紋認証でロック解除できることです。

これまで、1Passwordはマスターパスワードの入力が面倒だったので導入を見送っていましたがMBPでTouch IDが使えるようになったことで導入してみました。
複数のWebブラウザーを使用している場合もWebサイトのログインがしやすいですし、App Store以外で購入したアプリのシリアル番号を管理したり、クレジットカード番号を管理したりとなかなか便利です。

トラックパッドに関して

MBP内蔵トラックパッドの面積は、従来品で約2倍に拡大しました。これにより、デザインなどのクリエイティブな作業がやりやすくなったといえます。
(私は、Webデザインカンプ制作などもトラックパッドで行なっています)

ただし困ったこともあり、私の場合はウェブページを見るときに右手でスペースキーを押しながらページをスクロールするのですが、その際トラックパッドが大きいため右下に手が触れてタップ扱いになってしまう場合があります。

対策をいろいろ検討した結果、BetterTouchToolで[1 Finger Bottom Tap Right]を[No Action]に設定しておけば誤作動はほとんどなくなりました。

※[システム環境設定>トラックパッド>タップでクリック]をオンにしていない場合は、そもそもこの設定は必要ありません。私はタップでクリックの方が楽なのでそのように設定しています。

ディスプレイについて

ディスプレイディスプレイはRetinaディスプレイであるのはもちろん、広色域であるため非常に美しいです。
色域は、例えばiMac Retina 5K Late 2014よりも広くなっています。

ディスプレイの狭さに対する工夫

13インチのMBPの場合、デフォルトでは1440*900の擬似解像度になっています。これは、13インチのMBA同じ広さです。
MBAよりもピクセル密度は圧倒的に高いため、私はMBAよりも文字が大きくなったように感じました。

しかし、ウェブブラウザーでウェブページを見ていると、当然ですが27インチのiMac Retina 5Kに比べて画面が狭く感じます。
画面を広く使いたいという場合、多くの方は[システム環境設定>ディスプレイ>解像度>変更]から[スペースを拡大]に変更することで画面を広くしようと考えると思います。

しかしその場合、擬似解像度1680*1050でレンダリングした画像を縮小表示することになるため、どうしても文字が汚く見えてしまいます。

私は文字を小さく表示されるのは構わないのですが、文字の表示が汚いのはどうしても我慢できません。
そこで、Safariの設定を変更することで文字を小さくしてみました。

[Safariの環境設定>詳細>ページの拡大/縮小]を85%にすると、どのページを表示するときも本来の85%の大きさで表示するようになります。

この85%という表示倍率はなかなか絶妙で、多くのWebサイトを閲覧する時に文字が小さすぎず、27インチのiMac Retina 5Kと比べてもそれほど画面が小さいと感じなくなりWebページの閲覧が捗るようになりました。

Safariを使用したくない方は、Chromeと同じBlinkエンジンを使用した Vivaldi というWebブラウザーでも85%表示ができます。

それ以外のMacの設定は、別の記事として後日公開したいと考えています。

スピーカーについて

スピーカーに関しては、MacBook Airとは比べ物にならないくらい良くなっています。
これまでMacBook系の内蔵スピーカーで音楽を聴こうと思ったことはありませんでしたが、これなら音楽を聴くのにも使えるかなと感じました。

メモリやストレージに関して

これまでとメモリ容量が変わらないと言うことでがっかりされた方もいると思いますが、実はメモリの速度はかなり速くなっています。
私が持っているMacで比較するとこんな感じです。

MacBook Air 2012: 1600MHz
iMac Retina 5K Late 2014: 1600MHz
MacBook Pro Late 2016: 2133MHz

周波数(MHz)の数値が大きいほど速いため、サクサク動作します。

同様に、SSDの速度もかなり速くなっています。

SSDはロジックボードに直付けされているためSSDのみの交換は不可(ロジックボードごと交換する必要あり)のようで、SSDが故障したときのことを心配されている方もいると思いますが、Apple Japanに「もしディスクティリティでSSDにエラーが見つかった場合どうすれば良いか」と問い合わせたところ、「1年間の保証期間またはApple Careサポート期間内の場合は無償交換いたします。お引き取りから修理完了までは通常3~5日間かかります」とのことです。

MBPの注意点、不具合など

さて、MBPに私はかなり満足していますがさすがに完璧ではない部分もあります。
なお、ここに書いている不具合はmacOS Sierra 10.12.1時点のもので、今後アップデートで修正される可能性があります。

SierraのTime Machine、移行アシスタントは使用しない方が良い?

※2017/2/11追記: 以下のTime Machineの問題はOSのアップデートで修正されたことを確認しました。移行アシスタントに関しては私の環境では確認できていません。

私はMBAから「移行アシスタント」アプリを使用してMBPに環境設定などを含む全てのデータを移したのですが、ありとあらゆる不具合が出たためいったん初期化して1からセットアップし直しました。

外付けHDDを使用して移行したため、てっきりUSB-A to USB-C変換アダプターのせいかなと思ったのですが、Time Capsuleを使用してWi-Fiで移行した方やTime Machineでバックアップを取ろうとした方も不具合が出ているようです。

SierraがアップデートされるまではTime Machineや移行ツールは使用しない方が良いかもしれません。

※Apple Japanには報告済みです。

かな入力の場合、Touch Barの全角・半角英数候補が正しく表示されない

この不具合は、macOS Sierra 10.2.2で修正されました。

ローマ字入力の場合は問題無いのですが、かな入力の場合のみTouch Barの全角・半角英数字の表示部分がひらがなで表示されてしまいます。

イマイチなところ

Touch Barのモード切り替えが面倒

例えばCotEditorで執筆しているとき、カタカナや英数文字などの候補を表示させたいときはTouch Barの[キーボード]ボタンを押します。
再び[コメントアウト]や[不可視文字の表示]などのボタンを押したくなったときは[>]ボタンを押してカタカナなどの候補を非表示にする必要があります。
これがやや面倒に感じることがあります。

例えば、[コメントアウト]や[不可視文字の表示]などのボタンを使用しつつ、切り替えずにカタカナ変換をしたい場合は、control+Lでカタカナ変換などのキーボードショートカットを使用することを検討した方が良いかもしれません。

総評

Appleが初めてiPhoneを発表したとき、「物理キーボードを内蔵していないスマートフォンなんてありえない!タッチパネルでまともに文字入力なんてできるはずがない!」と言っている人たちがいましたが、スマートフォン業界は今どうなっているでしょうか。

あるいは、Appleが初代iMacを発表した時「USB端子?そんなものいらないからさっさとPS/2やシリアルポートに戻せ!」と言っている方がいましたが、今そんなことを言う方はいるでしょうか。

ファンクションキーのかわりに搭載されたTouch Barへは、思いついたから試しに搭載してみたというレベルではなく何年も前から泥臭く試行錯誤を繰り返して準備していたのだろうと感じました。

USB-C端子への変更は短期的には不便に感じる方もいるかもしれませんが、AndroidやハイエンドなWindowsノートPCでもUSB-C端子の採用は進んでおり、今後USB-Cが主流になるのは間違いないでしょう。

ここ数年MacBook Proの大きなリニューアルがなく、この先どうなるかと不安を感じていましたが、MacBook Pro 13インチTouch Barモデルを使ってみて「正しい方向に進んでいる」と安心しました。

私は、このMacBook Proを主にブログやスクール教材の執筆に使いたいと思っています。
その理由はもちろん、キーボードがとても打ちやすいということもありますが、macOS Sierraの音声入力が非常に賢いということもあります。
これに関しては別の記事を書きたいと思っています。

もちろん、PhotoshopやIllustratorを複数同時に起動してもサクサク動作しますし、キーボードが打ちやすいためプログラミングもしやすいです。
店頭でしばらく使ってみて、キーボードが自分に合うと感じた方はMacBook AirやMacBookからの買い替えを検討するのも良いと思います。

最近の記事

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