iPadは自炊&電子書籍ビューアとして使えるか?

この記事は、2012年3月に発売された、10インチの新しいiPad(第3世代)での自炊書籍・電子書籍活用法について書いています。
2012年11月に発売される、10インチの iPad(第4世代)も画面の解像度や重さなどはほぼ同じなので、参考になると思います。
ただ、ここに書いてある「読みやすい」などの表現は、あくまでも私の主観であることをあらかじめご了承ください。

iPad

私は、iPhone は4の時から使用していましたが、iPad はこれまでずっとスルーし続けてきました。
それをなぜ今さら、しかも iPad mini が発売されると噂されているときに購入したかというと、自分の部屋にWeb関連の本が増えすぎて2つの本棚に収まりきれなくなり、床から積み上げなければならないような状態になったからです。

今まで本の自炊は避けてきたのですが、これ以上本棚を増やすわけにもいかないので、この際思い切って iPad を購入しました。

なぜ10インチのiPadを選んだのか

iPad mini も気になっていたのですが、私の場合、大判の技術書を自炊して読みたいということや、オライリーなどの大判の技術書のPDF版を購入したり、雑誌を読みたいというのが第一でした。

これまで iPad をスルーしていたのは、画面の解像度が低すぎて文字が潰れるというのが1番の理由でしたが、第3世代の iPad からは Retina Display になって文字が綺麗に読めそうだと思ったので購入しました。

iPad mini は Retina Display ではないというのもありますが、大判の技術書よりサイズが小さいので、文字が小さくなって読みづらいのではないかと思い、10インチの iPad を買うことにしました。

なお、大抵の本は背景色が白なので、コントラストがきつくならないようホワイトモデルの iPad を選びました。

どうやって本を自炊するか

自分で自炊する場合

本を自炊するには、まず本を裁断用具で裁断し、ScanSnap などの連続して紙をスキャンする必要があります。
裁断道具や ScanSnap を自前で揃えると約4万円くらいかかったりしますし、そもそも「部屋をすっきりさせる」ために自炊したいのに、裁断道具や ScanSnap は場所をとってしまいます。

FUJITSU ScanSnap S1500 Acrobat X 標準添付 FI-S1500-A

裁断→スキャン→データ確認 までに時間がかなり掛かりそうで、数十冊スキャンすると数日潰れそうなのも気が重いです。
そこで、自炊代行業者を探すことにしました。

自炊代行業者: BOOKSCAN

有名なのは、大手の BOOKSCAN ですが、BOOKSCAN は通常の依頼では納期が分からず、色々な方のブログを見ていると1ヶ月かかることもあるそうです。

そこで、月額9,980円払えば月50冊までお急ぎでスキャンできるプレミアムコースもあるそうですが、そこまで大量にスキャンはしないのと、よくよくサイトを見ていると「表紙スキャンオプション」がないようなので BOOKSCAN は諦めました。

自炊代行業者: snap book

私が自炊代行業者を探す上で重要視したのは以下の3点です。

  • 本を送ってから1週間以内にスキャンしたデータを受け取れること
  • 表紙をカラーでスキャンし、PDFの1ページ目につけてくれること
  • テキストをOCR処理し、文字をPDFに埋め込んでくれること(全文検索できるようになる)

snap book は、表紙スキャンとテキストのOCR処理は有料オプションで、それぞれ50円と100円でしたが、お金さえ払えばきちんと対応してもらえるようなので、試しに2冊依頼してみました。

まず、「電子化依頼をしてお金を PayPal または銀行振込で先払い」後、指定された日(1週間後くらい)までに本を宅配便などで送付しました。
すると、指定された日の翌日くらいにスキャンし、データをダウンロードできる状態にしてくれました。

依頼→ダウンロード までは1週間くらいかかりましたが、本が手元にない期間は5日くらいだったので「読めなくて困る」という期間が短くて助かりました。

ダウンロードした PDF を見てみると、きちんと表紙はついていて、OCR 処理もされていて全文検索できるようになっていたのは良いのですが、微妙に傾いているページが数十ページあったのと、なぜか90度傾いているページが1ページだけあったのでお問い合せフォームで指摘したところ、翌日にはきちんとしたデータをいただけました。
値段が安いことや手間が省けることを考えれば、頼んでよかったと思います。

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自炊したPDFは読みやすいのか?

頂いた PDF を iPad に入れたところ、想像以上に読みやすくて驚きました。
細かい文字が潰れるのではとかなり心配していたのですが特にそういうこともなく、むしろダブルタップで細かい文字やソースコードなどを拡大して見れるので紙の本の時より読みやすいかもと思いました。

i文庫HDが便利

自炊したPDFを読むために使っているアプリですが、最初は iBooks を使用していたのですが、自炊PDFなど大きなサイズのPDFを閲覧すると、ページをめくった瞬間にぼやけて表示されることや、ページめくりのエフェクトをオフにすることができないため、良いアプリはないか iPad ユーザーの方に聞いたところ、かなりの方に i文庫HD を薦められたので使っています。

ページをめくった瞬間にぼやけて表示されることもなく、ページめくりエフェクトを完全にオフにすることもできるなど私が希望していた機能を満たしていて、iBooks のように美しい本棚を表示することもできます。
私は、本の一覧はテキストでタイトルを表示するのではなく、表紙のサムネイルを並べた方が分かりやすいと思っていたのでこれは嬉しかったです。

ちなみに、i文庫HD には青空文庫の作品なども収録されているので、そういった文学を読まれる方は自分で集めるより楽で便利かと思います。

ただ、EPUB形式には非対応なので、私の場合EPUB形式の電子書籍は iBooks で読んでいます。

日本語で技術書の電子書籍はあるのか

英語が読める方なら、iPad版の Kindle アプリを入れれば英語の電子書籍をたくさん買うことができそうですが、日本語の電子書籍、特にWeb関連の技術書などはまだまだ少ないのが現状です。

今のところ購入できるのは、

などでしょうか。
オライリーは、PDF版の方が多少安くなっていますね。

iPadで日本語電子書籍を読んでみる

オライリーのPDFの場合

実は、以前オライリーの スケーラブルWebサイト という本のPDF版を購入し、MBA(MacBook Air)で読もうとしたことがあったのですが、MBAの画面で細かい明朝体を読むのがつらくて途中で断念していました。

iPadでは、解像度が高いことと画面が縦長にでき、1ページが一目で見渡せることから、紙の本に近い感覚で読むことができ、MBAで読むよりもだいぶ楽でした。

あと、図がベジェ曲線でできているので荒くならず、細かい部分を拡大して確認できるのも良かったです。

ただ、やはり元が大判書籍のためか、周囲の余白が大きく、文字が小さめに見えます。
i文庫HD に、ページの中央を中心として110%などに拡大する機能があれば、あるいは後述するEPUB形式も販売されていればフォントの種類やサイズが変更できて読みやすいのではないかと思いました。

追記

コメントで教えていただいたのですが、i文庫HD で読書している時に画面をタップして「方向>内拡大>大」でページの中央を中心として110%などに拡大できました。
教えていただきありがとうございます。

EPUBの電子書籍の場合

EPUB形式の場合、i文庫HD では読めませんので iBooks を使って読みます。
EPUBで日本語の技術書がないか探していたら、Linux標準教科書 という電子書籍が無料で公開されていたので、早速 iPad に入れて読んでみました。

フォントをゴシック体に変更すると、かなり読みやすくなった気がします。
Retina Display は解像度高いとはいえ、液晶ではやはりゴシック体の方が読みやすいと個人的には思います。
もちろん、フォントサイズの変更もできます。

ただ、iBooks は余白などの設定はできません。
細かく設定したければ、別の EPUB 対応アプリを探した方が良さそうです。

Web関連の雑誌の場合

Web関連の雑誌は iPad で読めるものはまだまだ少ないのではと思っていたのですが、ビューン というアプリで WebDesigning の主要記事を読むことができました。

もし全ての記事を読みたい場合は マガストア で1200円で購入することもできます。

個人的には、WebDesigning やその他の雑誌も読めて月額450円で読めるビューンがかなりお得に感じたので、しばらく購読しようと思っています。

ちなみに、ビューンの場合各ページは JPEG のような画像形式になっているようで拡大すると荒れて見えますが、拡大しなくても読めますし、まあ問題ないレベルかと思います。
できれば、文字は拡大しても荒れないようにしていただけるとありがたいなとは思いますが…

WEB+DB PRESS総集編の場合

以前このブログでも取り上げたWEB+DB PRESS総集編(Vol. 1〜60)ですが、過去10年分の記事が PDF 形式でまるごと収録された DVD が付録で付いていて ¥2,699 なのでものすごくコスパが高いのです。

iPad WEB+DB PRESS

しかし、MBA では「文字を読みやすくするために拡大→2段組のページの場合、一旦下にスクロールして上に戻る」など操作が面倒で、ほとんど読まずに放置してました。実にもったいないです。

しかし、試しに iPad で読んでみたところ、Retina Display のおかげでいちいちスクロールしなくても紙の雑誌のように読めます。これは素晴らしいです。
読みやすくなったおかげで、一気に数冊分読んでしまいました。
目次も表示・ジャンプできるため、非常に便利です。

私は Vol.40 以降を i文庫HD に専用の本棚を作って入れているのですが、なかなか壮観ですw

Kindleの電子書籍をiPadで読むには

iPad の AppStore で「Kindle」で検索し、Kindle アプリをインストールして起動し、Amazon.co.jp のアカウントでログインします。
その後、ブラウザ(iPad でも Mac や PC でも)で Amazon.co.jp にログインし、Kindle 書籍を購入すると iPad で読めるようになるようです。

詳細が分かったら、ここに追記したいと思います。

追記

Amazon.co.jp にログインし、試しに テルマエ・ロマエの漫画(Kindle版)を購入し、iPad版 Kindle アプリを再起動したところすぐに転送されて読むことができました。

解像度は思ったより低く、階調や文字などは普通の自炊本程度でしたが、見開きで2ページずつ表示するなら問題ないかなという感じです。
個人的にはもっと解像度が高いほうが好みですが、価格がわずか ¥215 と、紙の本に比べかなりお得でした。

なお、この本はサンプルもあり、本文7ページ目あたりまで無料で読むこともできました。
見た目の確認などに良さそうです。

自炊&電子書籍PDFの容量とiPadの容量の選び方

自炊したPDFは結構重く、snap book でスキャンした、大判技術書300ppiのPDF形式の自炊PDFの場合、1冊約100MBでした。
仮に100冊入れっぱなしにする場合、約10GBなので、16GBモデルだとちょっと危ないですね。

ちなみに、オライリーのPDFはかなり軽く、1冊1MB〜5MB程度しかありませんでした。
WEB+DB PRESSは1冊50MB〜80MB程度でした。

16GBモデルを選ぶ場合は、Dropbox などから必要な本だけをダウンロードして読むとか、読み終わった本は消すなどの工夫が必要かもしれません。

一般的には32GBあれば十分では…と思います。
私は全ての本を1つの iPad に入れたかったので64GB版を買いましたが、かなり余らせています。

読書に適したiPadケース兼スタンド

iPad のケースは、公式の風呂蓋こと Smart Cover や、その他たくさんのケースやスタンドが出ていますが、そのほとんどは「iPad を横向きに立てることはできる」のですが、残念ながら縦向きに立てることができません。

私は、iPad を主に読書用として使用したいと思って購入したのですが、本体だけで 600g 以上あるため手に持って読書するのは少々辛く、縦置きできるスタンドがないか探していました。

できれば、保護ケースにもなって縦置き、横置きできるものはないか…と探していて見つけたのがこれです。

ELECOM iPad 2012 360度スイベルケース ブラウン TB-A12360BR

※この製品は、iPad 2 および 第3世代 iPad 用です。

使わないときは保護ケースになり、そのままバッグなどに入れることができます(私はあまり持ち歩きませんが)。

iPad

読書したい時は縦置き、

iPad

動画を観たい時などは横置きにできます。
余談ですが、ニコニコ動画アプリやニコニコ生放送アプリを使って動画を再生した場合、MBA で再生した時のようにファンの音がしないのでなかなか快適です。

iPad

個人的には、もっと高級感がある方が良かったですが、かなり便利なケース兼スタンドなので重宝しています。

まとめ

正直、iPad を買ってもあまり使わないまま売ってしまうのではとかなり危惧して今まで購入しないでいたのですが、予想していたより文字が読みやすく、部屋も片付いたのでなかなか重宝しています。

そのうち別の記事として書きたいと思っているのですが、Jot Touch という筆圧対応ペンでお絵かきできたりと思ったより用途が多く、色々な使い道がありそうです。

ただ残念なのが、本体の重量が重いことです。
600g以上もあると、片手で持って読書するのはちょっと辛いです。
iPad mini は300gちょっとですが、画面が Retina Display ではないので日本語大判書籍を読むには適しませんし…

iPhone 5 はかなり軽くなったので、iPad も10インチのままもっと軽く(390gくらいに)なればどこでも持ち歩ける神デバイスになるのになーと思っているところです。

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