Adobe XDは利用できなくなるのか、Adobeに問い合わせました

2023年1月に、Adobeの公式Webページの「Adobeのすべての製品一覧」からAdobe XDが消えたことでWeb制作者の間で大きな騒ぎになっています。

Adobeのすべての製品一覧ページで「XD」で検索した結果

というのもAdobeは事前に「Adobe XDは今後どうなるのか」についての発表をおこなっておらず、ある日突然製品一覧から消したため、利用者が混乱しているというのが現状です。

このブログや私のTwitterでは過去に「Adobe XDのアップデートは止まっており、今にも消えそう」であることを書いていますが、そのことを知らず、突然何が起きたのか分からずに騒いでいる方もいらっしゃるようです。

そこでこの記事では、これまでに何があったかと、「XDについてAdobeに問い合わせた結果」についてまとめています。

追記: 2023年5月に再度確認したところ、Adobeのすべての製品一覧ページで「XD」で検索するとAdobe XDが検索結果に表れるようになっていました。

これまでの流れ

日本のWebデザインやUIザインではAdobe XDのシェアは結構高いですが、全世界から見るとXDのシェアはかなり低く、Figmaが圧倒的でした。
以下のグラフのオレンジの線がAdobe XDです。

UI Design Tool Growth より

Adobeは「XDは毎月アップデートします」と宣言していましたが2021年末ごろからアップデートの頻度が低くなり、2022年4月以降ほぼアップデートされていませんでした。

※細かいことを言うと、2022年10月と2023年1月24日にマイナーアップデートをしています。しかし大きな新機能の追加はありませんでした。

2022年の年初から夏頃にかけてAdobeは株価の1/3を失いました。
これはUIザイン分野でFigmaに負けていることなど、「他社製品と比較しての優位性がないことを株主に見抜かれてしまった」とブルームバーグなどでは報道されていました。

UIデザインはほぼFigmaの独壇場になった2022年9月に、AdobeはFigmaを買収することを発表しました。

Figma関係者いわく「Adobeからは数ヶ月前に打診があった」そうです。
つまり、AdobeがFigmaを買収できる見込みがあると分かった途端、XDのアップデートを止めたということになります。

そして2023年1月下旬、Adobeの全製品一覧からAdobe XDが消滅していることが確認されました。
日本語版のAdobe XD公式ページだったURLにアクセスすると、サポートページにリダイレクト(転送)されるようになっています。

なおAdobe JapanでAdobe XDの積極的な普及活動をおこなっていた轟さんのTwitterアカウントは、「おつかれさまでした!みんな頑張った!」という2022年12月6日のツイートを最後に、この記事を公開した2023年1月25日時点まで全く更新されていません。

製品一覧からXDがなくなったのはなぜなのか、Adobe Japanに問い合わせてみた

Adobe Japanに電話で問い合わせたところ、以下の回答が得られました。

  • Adobe XDの単体契約はなくなりました。
  • Adobe CCコンプリートプランでは引き続きAdobe XDを利用できます。
  • 今のところAdobe XDのサービス終了は決まっていません。

「Adobe XDは今後もずっと利用できるのか、実は提供終了が決まっているのではないか」ということを何度か尋ねたのですが、「単体契約はなくなったがAdobe CCコンプリートプランでは引き続き利用できる、サービス終了は決まっていない」との回答でした。

つまり、Adobe XDだけの新規契約は不可、全部入りサブスクのAdobe CCを契約すればXDの利用は可能ということになります。

「突然製品一覧からXDを消したり、XDの公式ページを消したら利用者が困ってしまう、なぜ先に『Adobe XDは今後どうなるか』について発表しなかったのか?」と尋ねたところ、「それもそうですね、上申しておきます」とのことでした。

他のメディアがAdobe Japanに問い合わせた結果

ITmediaがAdobeに確認したところ、担当者が違うためか私とは少し違う回答があったようです。

この記事では「Adobe XDについてはメンテナンスモードとすることを決定いたしました」と書かれていますが、私が問い合わせた時はそのようなことは言っていませんでした。

メンテナンスモードは企業によってニュアンスが違うと思いますが、このような場合は一般的に「バグ修正など行い既存ユーザーは引き続き利用できるが、積極的な新機能の開発はしない」という意味ではないかと思われます。

記事へのリンク: 「Adobe XD」単体販売を終了、サポート継続へ Figmaとのすみ分けは「何も決まっていない」 – ITmedia NEWS

さらに別の方が「Adobeに問い合わせたら、『Webでの単体契約はできないが、電話注文であればXDの単体契約は今後も可能』と言われた」とツイートされているようです。
私は「Adobe XDの単体契約はなくなりました」と言われたので矛盾しているように感じますが、Adobe社内も混乱しているのかもしれません。

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まとめ: XDユーザーは今後どうすべきか

Adobeサポートの返答を信じるのであれば、今すぐにAdobe XDが使えなくなるということはないようです。
しかし、事前に予告なくある日突然XDの単体販売を終了し、XD公式ページを削除してサポートページにリダイレクトしたことは事実です。

XD利用者の方の中には「XDの公式ページがなくなったのは一時的なトラブルでは?」と考えている方もいらっしゃるようですが、XDの公式ページがなくなったのは単体販売終了に伴うAdobeの意図的なものです。

今後もAdobe製品を使ってWebデザインやUIデザインをしたい場合は、今のうちにFigmaに乗り換えるのが良いのではないでしょうか。

この機会に脱Adobeしたい方向けには、以下の記事の「脱Adobeしたい方のためのガイド」という段落に、Figmaと競合する他社製品やオープンソースのアプリを紹介しています。

AdobeのFigma買収とAdobe XDのこれから | Stocker.jp / diary

なお 私が開催しているWebデザインスクール は、今後開催する際はFigmaを中心に内容を変更することを予定しております。

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