フィルムカメラで撮影した写真を自分で現像・プリントしてみた

私は普段FUJIFILM X-E3というデジタルカメラを使用しています。
このカメラを使用しているのはフィルム風の色で撮影できることと、見た目がレトロカメラっぽくて可愛いからです。

そんなある日、メルカリで本物のレトロフィルムカメラが1000円で売られているのを見つけて買ってみました。
左がFUJIFILM X-E3(デジタルカメラ)、右がFUJIFILM GE(フィルムカメラ)です。1970年頃に発売されたもののようです。

さっそくフイルムカメラで新宿や下北沢などいろいろな場所を撮影してみたのですが、せっかくなので現像やプリントも自分でやってみたいと考えるようになりました。

そして先日、東京都豊島区にある AMALABO というレンタル暗室で現像と紙焼きをしてきました。
この記事は、その時の体験を踏まえてフィルム写真の現像や紙焼きについて書いています。

昔経験したフィルムの現像や紙焼きについて

私は学生時代に写真部でモノクロフィルムの現像や紙焼きを体験したことがあります。
モノクロフィルムの現像や紙焼きは比較的簡単でした。

しかし、カラーネガフィルムの現像や紙焼きは非常に難しいと聞いていました。
うろ覚えですが「カラーネガフィルムの現像は専門の高価な機械を使用しなければ難しい」と聞いていた気がします。

また、モノクロフィルムを紙焼きするときは暗室の中で赤い照明をつけることができたので作業しやすかったのですが、「カラーネガフィルムの場合は完全に暗くする必要があるため難しい」と聞いていました。

そこで現像はお店に任せて、お店で現像したものをフィルムスキャナーでスキャンして、Photoshopで補正してインクジェットプリンターで印刷して展示などしていました。
私がPhotoshopの使い方を覚えたのはちょうどこの頃でした。

私は写真部で最初にモノクロフィルムの現像を体験して、次にカラーネガフィルム、カラーポジフィルム、そしてデジタルカメラという風にいろいろ体験することができたので、PhotoshopやLightroomにあるさまざまなツールや機能を理解しやすかったのではないかと自分で思っています。

今回体験したカラーネガフィルムの現像について

しかし、AMALABOでは自分でカラーネガフィルムの現像や紙焼きができると聞いて興味を持ち、ワークショップに参加することにしました。

今回体験したカラーネガフィルムの現像では以下のようなプラスチック製の容器(タンク)を使用しました。
なぜプラスチック製かというと、「金属の物に比べて温度が下がりにくく安定した現像ができるから」だそうです。

このプラスチックケースは縦長のため、35mmフィルムを2本入れて一緒に現像したり、中判フィルム(35mmフィルムより大きい)を現像することもできるのだそうです。

フィルムの現像に必要なもの

フィルムの現像だけであれば暗室は必要ありません。
このプラスチックの容器と、ダークバッグと呼ばれる手を入れられる黒い袋と、フィルムケースからフィルムを引っ張り出すための道具と、現像液や停止液、定着液があれば現像できます。

フィルムを現像する手順

フィルムケースからフィルムを引っ張り出すための道具を使ってフィルムを5cmほど引っ張り出します。
白いプラスチックでできたリールにフィルムを巻いていきます。
この時、フィルムを最後まで巻いてしまうと感光して真っ白な写真になってしまうため、途中で止めておきます。

フィルムを巻くためのリールと黒いプラスチックのケースをダークバックと呼ばれる黒い袋の中に入れます。
その袋の中で手探りでフイルムをリールに巻いて黒いプラスチックのケースに入れます。
ここはそれほど難しくありませんでした。

ダークバックから容器などを取り出して、容器に一定の温度に温めた現像液を入れます。
現像液は通常は37℃ほどにするそうですが、AMALABOでは30℃ほどの現像液を使用し、通常より長い時間をかけて現像していました。
なぜ温度を低くして長い時間をかけるかというと、「もし現像液や定着液を入れるタイミングが5秒から10秒ほどずれても失敗しにくいため」とのことです。

その後、停止液と定着液を混ぜたものを入れてから水で定着液を2回ほど洗い流し、フィルムを取り出します。

次にフィルムを乾かし、フィルムをハサミで6コマずつに切り分けて透明な袋に入れます。
ルーペ(拡大鏡)を使用してピントが合っているかなど確認しながら、どのコマを紙焼きするかを決めます。

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フィルムから紙焼きする

この体験では、2枚まで紙焼きが可能とのことでした。
私は新宿で撮影した写真と、aiboを撮影した写真を紙焼きすることにしました。

紙焼きするには、暗室で引き伸ばし機と呼ばれる機械にフィルムを挟む必要があります。

以下の動画をご覧いただくと、紙焼きのイメージがつかみやすいかもしれません。

そして、暗室を完全に真っ暗にしたあと、印画紙を引き伸ばし機の下に置きます。
部屋が真っ暗になるとどこに何があるのか全くわからないのですが、引き伸ばし機にあるへこんだ部分などを目安に印画紙を置きます。これはかなり難しかったです。

引き伸ばし機で印画紙に光を当てる時間が長いほど写真が明るくなるのですが、最初はどれぐらいの時間紙焼きをすればいいのか分からないので、まずは小さい印画紙を使用して試しに焼いてみます。
小さな印画紙の一部を黒い紙で隠し、2秒ずつ時間をずらしながら少しずつ紙焼きをして最適な時間を探していきます。

モノクロ写真だとここで本番の紙焼きをするのですが、カラー写真の場合カラーバランスの調整があります。
引き伸ばし機の機種名の右側にシアンとマゼンタとイエローのダイヤルがあります。

小さな紙に焼きながら、このダイヤルを調整してカラーバランスが自然に見えるよう何度か調整していきました。

最適な時間とカラーバランスがわかったら、いよいよ大きな印画紙を使用して紙焼きをします。

引き伸ばし機のダイヤルで時間をセットしてボタンを押すと、あらかじめ決められた時間だけ印画紙に写真が映し出されます。

その印画紙を現像液に浸し、1分ぐらい経ったら定着液に浸します。
定着液に浸したあとは部屋の電気をつけても大丈夫です。

できあがった写真

そしてできあがった写真がこちらです。
間違いなく2019年に撮影した新宿の風景なのですが、なんだか数十年前に撮影した写真のような不思議な雰囲気になりました。

写真の中央からやや左側が赤く変色しているのは、カメラが光漏れを起こしているためです。

古いカメラで、モルトと呼ばれる光漏れを防ぐための黒いスポンジのようなものがボロボロになっていたのですが、最近のフィルムカメラ風写真加工アプリ(1998 Camなど)は光漏れ風の効果もあるので、あえてそのまま撮影してみました。

次にaiboの写真を紙焼きしました。
新しいロボットなのに古い写真風で少し不思議な雰囲気かもしれません。
写真の右下のオレンジ色の線部分は、定着液が付いたビニール手袋で誤って印画紙を触ってしまいこうなったようです。
左端の青い部分は光漏れの影響と思われます。

ちなみに、↑の写真を撮影した直後にFUJIFILM X-E3というデジタルカメラで撮影した写真が↓です。
撮影時のフィルムシミュレーションはPRO Neg. Std(スタンダードなネガフィルムの色)に設定していたのですが、かなり雰囲気が違いますね。

他の写真も紙焼きしたい時は追加料金を払うか、ネガを近所の写真屋さんに持って行き紙焼きすることができます。
一般的に写真屋での紙焼は、Lサイズで1枚30円ほどです。

AMALABOについて

今回私が体験したコースは、モノクロフィルムの現像経験がある方に向けたコースだそうです。
モノクロフィルムの現像経験がない方向けには、フィルムカメラでの写真の撮影から現像や紙焼きまで一通り体験できるコースもあるそうです。

今回お会いしたAMALABOの青山さんは非常にフィルムカメラが好きな方のようで、フイルムカメラやフィルム関係のグッズもたくさんありました。
フィルムカメラの思い出を語りたい方などにも良いかもしれません。

なぜ今フィルム写真を体験したのか

私の場合理由は2つあります。
1つはフィルムや関連用品の生産が終了しつつあり、もし10年後に「ひさしぶりにフィルム写真を撮影・現像したい」と思っても困難になるかもしれないと感じたためです。

そしてもう1つは、Photoshopの覆い焼きツールや焼き込みツールの解説記事を書こうと思ったのですが、写真部で写真を覆い焼きしていたのはもうだいぶ前で、やり方がうろ覚えなので再び体験したいと思ったためです。

覆い焼きツールや焼き込みツールの解説記事は、近日公開したいと考えています。

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