iMac Retina 5K 2019レビュー: 再び5Kを選んだ理由

私は2014年からiMac Retina 5Kディスプレイモデルを使用していました。
約5年経過して買い換えを検討し、Windows PCなども含めて散々迷った挙句、結局また2019年版のiMac 5Kモデルを購入しました。
この記事ではなぜまたiMacを購入したのか、なぜその構成にしたのか、などといったことについて書いています。
もちろん使ってみての感想も書いています。

Photo by Carl Heyerdahl. この写真のみ私が撮影したものではありません。この記事の他の写真は私が撮影したものです。

iMac 2014を5年使ってみてどうだったか

iMac Retina 5K Late 2014(以下iMac 2014と表記)はMacではじめての5Kディスプレイモデルでしたが、当時私はMacBook Air + Cinama Display 20インチからの乗り換えだったこともあって非常に快適に感じました。
しばらく使っていれば慣れてしまって何とも思わなくなるかな?とも思ったのですが、やはり5年使い続けても「広くて高解像度の5Kディスプレイは快適である」という結論は変わりませんでした。

高解像度で広いディスプレイは何が良いか

5Kディスプレイは4Kディスプレイの1.7倍もの画素数があります。
たとえば写真の現像や補正の時は、この高解像度が非常に役に立ちます。

Capture Oneで写真を整理しているところ。クリックで5Kの画像を確認できます

5Kディスプレイを使う前は、写真の一部を拡大したり縮小して全体を見たりといったことを繰り返していましたが、5Kディスプレイになってからそのようなことをする必要がなくなり、非常に快適に写真の現像や補正ができるようになりました。
(私が使用しているカメラで撮影した写真は幅5000px程度のため、フルスクリーンでほぼ100%表示できます)

また、Webデザインの際もスマートフォンとPCを横に並べて同時にデザインする、あるいはブラウザとエディタを横に並べるといったことも非常にやりやすいです。

最近は4K RAWで撮影された動画を編集する機会もあったのですが、とても快適に編集できました。
編集に使用したのは DaVinci Resolve 無償版です。iMac 2014, 2019ともにGPUアクセラレーションに対応していて快適に動作しました。

Webブラウザでネットを見ているときも、横にiTunesやSpotifyなどの音楽プレイヤーを並べたり動画をながら見しながらネットを見るといったことも快適にできます。

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iMac 2014に対する不満

iMac 2014に対して全く不満がなかったわけではありません。
まず一番の不満は画面の焼き付きでした。

画面の特に端の方に長時間同じ画像を表示した後に濃いグレーの画面にしたり、Photoshopのような暗いウインドウを画面いっぱいに表示すると、画面の端の方に直前まで表示していたものがしばらくの間残って見えるという問題です。
特に、画面の下のDock部分の焼け付きが目立っていました。

そしてグラフィックボードがNVIDIAではなくAMDであるということです。
これは多くのMac用アプリケーションやPhotoshop、Illustratorなどを使う上ではとくに問題はないのですが、たとえばBlenderという3DCGアプリケーションはiMacに搭載しているAMDのRadeonグラフィックボードではGPUを使用した高速なレンダリングはできませんでした。

また、機械学習、ディープラーニングの場合NVIDIAのCUDAという技術を使って高速に計算をすることができる場合が多いのですが、AMDには対応していないものが多いのも不満でした。

そしてiMac 2014の時は大容量のSSDの価格が高かったためFusion DeiveというSSDとハードディスクを組み合わせたストレージを選択していたのですが約2年半使用した時に突如ストレージの内容が読めなくなってしまい、ディスクユーティリティで初期化もできず困ったことがありました。

結局Appleサポートに電話しましたが、電話で指示された通りにMac特有の普段見慣れないコマンドをひたすら15分ぐらい入力し続けてなんとか修理することができました。

周囲でFusion DriveのiMacを買った人に話を聞いても「複数回ストレージが飛んだことがある」という方もいて、やはり複数のストレージを結合して使用する場合、どちらかのストレージの内容が飛んだだけでデータが読めなくなってしまうのでストレージが破損してしまう確率が高いのかなと不安に思いました。

新しいPCを買うにあたって

実は今回はiMac 5Kだけではなく、他のMacやWindowsのデスクトップPCも含めてさまざまな機種を検討しました。
しかし、最終的にやはり5KディスプレイのiMacを選択しました。
その理由ですが、いくつかあります。

まずWindows PCまたはMac miniに4Kディスプレイまたは5Kディスプレイを接続することも考えましたが、4Kディスプレイは値段が手頃になってきたものの、一度5Kディスプレイに慣れた後だと解像度が低く感じてしまいます。

4Kと5Kディスプレイの比較

上のグラフをご覧いただければわかると思うのですが、4Kと5Kという表現では大して差がないように思うかもしれませんが、実際は画素数で1.7倍もの差があります。
これは、特にデザインや写真編集をする際に大きな違いを感じます。

そして外付けの5Kディスプレイを購入した場合、きちんと色域が広いものはかなり割高であるということです。
iMac内蔵のディスプレイはP3と呼ばれる高色域のディスプレイを採用しています。
そう考えると、やはりiMacの5Kディスプレイモデルを買うのがコストパフォーマンスが高いということになります。

また、Mac miniに外部GPUボックスを接続するということも考えたのですが、見た目があまりよろしくないというだけではなく、Twitterで「外部GPUボックスをMac miniで使用していたら外部GPUから発火した」というツイートも見て不安を感じました。

GPUがNVIDIAではなくAMDの場合、Blenderや機械学習など不利な部分がありますが、そこは私の本業ではなくあくまで趣味であるため、やはり「本業であるWeb制作でもっとも快適な機種を選ぶべきではないか」ということでiMac 5Kを選択しました。

※Web制作ではなぜMacが良いのかという話については下記記事にまとめています。

なぜこの構成にしたのか

私が購入したiMacは店頭で売られているものではなくAppleストアオンラインでカスタマイズし以下の構成にしました。

  • 3.7GHz 6コア第9世代Intel Core i5プロセッサ(Turbo Boost使用時最大4.6GHz)
  • 8GB 2,666MHz DDR4メモリ(別途+32GBメモリ購入)
  • Radeon Pro 580X(8GB GDDR5メモリ搭載)
  • 1TB SSDストレージ
  • Magic Trackpad 2
  • Magic Keyboard – 日本語(JIS)

価格は¥291,800で、別途¥20,800のAppleCare+ for iMacを追加し、¥9,500の16GBメモリを2枚購入しています。

CPUはこれまではなるべく高い性能にカスタマイズしていましたが、iMac 2014を使用していてそれほどCPUが足りないと感じることはなかったのと、6コアになっているため標準のままでも性能は高いだろうと思いカスタマイズはしませんでした。

メモリに関しては32GB以上欲しいと思っていましたが、Appleストアでカスタマイズするよりも自分でメモリを購入した方が少し安く済むため最低の8GBで注文し、別途Amazonで16GBのメモリを2枚購入しました。

購入したメモリ: Crucial(Micron製) ノートPC用 メモリ PC4-21300(DDR4-2666) 16GB×1枚 CL19 DRx8 260pin

ちなみに、iMac 2014ではメモリは8GB+16GB=24GBで使用しており、一般的なWeb制作ではそれで足りていましたが、LightroomやCapture Oneのような写真管理・現像アプリを起動したまま仮想PCを起動するとメモリが足りないと感じることがありました。

GPUに関しては、iMac 2014ではビデオメモリ(VRAM)が4GBあり、これで十分だろうと思っていたら、仮想PCのWindows 10上で3Dのゲームを動かしている時にビデオメモリが足りないと感じることがあったため、GDDR5 8GBのモデルで注文しました。

ストレージに関しては前述したようにFusion Driveがデータが飛んでしまうことが多いと感じていたためSSD 1TBにしました。
iMac 2014や2017の時はSSD 1TBは大変高価だったのですが、2019はそこまで価格が変わらなかった(+3.3万)ので1TBを選択することができてよかったです。

キーボードに関しては、私は日本語をかな入力しているのでJIS日本語キーボード一択でした。
私はマウスではなくトラックパッドでMacを操作しているため、Magic Trackpad 2を選択しました。
その方がWebブラウザーをはじめ、IllustratorやAdobe XD、Affinity Designerといったデザインツールでピンチアウトやピンチインなどで拡大縮小の操作がしやすいためです。

VESAマウントモデルについて

そして何より一番大切なのは、通常のスタンドモデルではなく「VESAマウントモデル」を選択したことです。
VESAマウントモデルは、いろいろなメーカーから発売されているVESAアームを装着することでiMacの高さや向きを自由に変更することができます。

また、1つのテーブルをiMacを使用した作業だけでなく別の目的にも利用したいという場合、iMacをさっと片付けることもできるので便利です。

iMacを片付けたところ

iMac 2014から2019に買い替えてどうだったか

2014と2019を比べると、見た目はほとんど変わらないため最初はちょっと物足りない感じもしたのですが、やはりサクサク動作する事や画面の焼き付きがないことで「買い換えて良かった」と思っています。

大きな違いとしては、たとえばストレージの読み書きが以前は1秒間400MB程度だったのが、2000MB程度に高速になっています。
そのぶん数倍速く動作するかと言われるとそこまでの違いは感じませんが、やはりアプリケーションの起動などが少し速くなったと感じます。

もっとも違いを感じやすいのがも大きなファイルの読み書きをしている途中やTime Machineでバックアップを取っている途中に仕事をしていても重く感じないことです。

iMac 2014の時は、たとえば大きなファイルを読み書きしたりTime Machineバックアップ中はいつもより少し重くて、バックアップを取っている最中であることがわかりやすかったのですが、iMac 2019になってからはTime Machineバックアップ中であることに全く気づかなくなりました。

また、私は外付けSSDにWindows 10を入れており、Parallels Desktopという仮想PCアプリを使用して起動することがあります。
従来はParallels DesktopでWindows 10を起動しっぱなしにしていたり、特に3Dのゲームを起動しっぱなしにしていると非常に重く感じて通常の作業がしづらいと感じていましたが、iMac 2019に買い換えてからは全く重く感じなくなったため、うっかり仮想PCを起動しっぱなしで作業していることに気づかないということが何度かありました。

不満に思ったこと

USB-C端子が少ない

iMac 2019の背面にはUSB-A端子が4つ、USB-C端子が2つ付いています。
私はUSB-A端子ではなくUSB-C端子のケーブルをを普段使うことが多いのと、これから先USB-C端子の周辺機器が増えるだろうと思っているのでUSB-C端子をもっと増やして欲しかったと思っています。

黒いケーブルはUSB-C延長ケーブルです

今は、USB-C端子からUSB-C延長ケーブルを使用して、その先に USB-C Digital AV Multiportアダプタ を接続してそこに外付けハードディスクなどを接続しています。
直接いろいろな機器を接続するより、この方が背面がすっきり見えて気に入っています。

光オーディオ端子がない

iMac 2019には残念ながら光オーディオ出力端子がありません。
イヤホンジャックはありますが、アナログ出力しかできなくなっているのです。
仕方がないので USB-C Digital AV Multiportアダプタ を使用してUSB-C端子からHDMIケーブルを使用してアンプに接続し音を出しています。

光オーディオアンプからHDMIアダプターに乗り換えた感想ですが、少し便利になりました。

iMac 2014の光オーディオ端子から音声を出力していた時は、たとえばアンプの入力を切り替え別の機器からの音声をアンプで出力している間はiMacの通知音などが一切聞こえませんでした。
しかし、HDMIアダプター経由で音を出している場合、アンプの入力を別の機器に切り替えるなどした時はiMac内蔵のスピーカーから音が出るようになりました。
そのため、通知音を聞き逃すといったことがなくなりました。

余談ですが、USB-C Digital AV MultiportアダプタにはUSB-C端子(メス)がありますが、ここに外付けハードディスクなどをUSB-C接続しても認識されません。
Appleに聞いたところこの端子は給電専用だそうですが、箱にはそのようなことは書かれていませんでした。
複数のUSB機器を接続したいときは、他社製のUSBハブなどを購入した方が良いと思います。

iMac 2014から移行するときに試したこと

Macを買い換えたとき、新しいMacをセットアップする方法は大きく分けて2つあると思います。

  • Time Machineバックアップから復元
  • 1からセットアップ

Time Machineバックアップから復元した場合、放置するだけで以前のMacと同じ環境になるため楽ですが、OSの不調な部分も引き継いでしまったり、異なるバージョンのOSに移行した場合不調になることがあります。

1からセットアップするとOSの不調は引き継ぎませんが、セットアップに時間がかかるためしばらく仕事が止まってしまいます。

そこで今回は、書類フォルダーと、自分でインストールしたアプリの設定ファイルが入っているApplication Supportフォルダーをコピーして移行してみました。

その結果、OSの不調を引き継ぐこともなく、設定にかかる時間を大幅に節約できたため次回からもこの方法を使おうかと思っています。

Application Supportフォルダーの場所ですが、2つあります。
1つめは[Macintosh HD/ライブラリ/Application Support]2つめはFinderのメニューの[移動]をoptionキーを押しながらクリックしたときに表示される[ライブラリ]の中の[Application Support]です。
[Application Support]の中のApple純正アプリの設定フォルダーは複製せず、自分でインストールしたアプリのフォルダーだけ複製しました。

10%くらいのアプリはこの方法では設定が初期化され、2つくらいのアプリは正常に動作しなかったため設定フォルダーを個別に削除しました。

まとめ

iMac 2014は画面の焼け付き以外特に不満がなかったため、買い換えるべきかだいぶ迷っていたのですが、仮想PCを起動したままでも重くならず快適に作業できるなど全体的に快適になり、買い換えて良かったと感じています。

iMac 2014は約5年間にわたってメインマシンとして使用していましたが、iMac 2019もそれくらい使えるといいなと思っています。

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