Macでも無料でIE確認するためのModern.IEが想像以上に快適だった

これまで、MacBook Air 上で制作したWebページを IE 確認する時は、「VirtualBox」や「Parallels Desktop」という仮想PCアプリケーション上で Windows 8 などを起動し、そこで IE を起動して表示確認しています。

Modern.IE on VirtualBox

私は、

  • Windows XP – IE8
  • Windows 7 – IE9
  • Windows 8 – IE10

のように、なるべく一般的なOSとブラウザーのバージョンで合わせて個別の仮想PCをインストールしていますので、実機で確認するのと比べてもほとんど遜色のない精度でIEでの表示確認をすることができています。

その際、「Windows 8 – IE10」環境は、パフォーマンスが良いと聞いて購入した「Parallels Desktop 7」という仮想PCアプリケーションを使用していました。

しかし、OS X を Mavericks(10.9)にアップグレードしようとした際「Parallels Desktop 7 は Mavericks に対応していません!Parallels Desktop 9 にアップグレードしてください」と表示され、アップグレードするには ¥4,900 必要とのことだったので、この機会にすべての仮想PCを無料の「VirtualBox」に移行することにしました。

そこで、Microsoft が提供している「Modern.IE」というIE検証用の仮想PCファイルを試したところ、すんなりインストールできてなかなか快適だったので、やり方をまとめました。

「Modern.IE」は Windows や Linux でも動くと思いますが、ここでは OS X での手順について解説しています。

途中で「ターミナル」を使用するため、慣れていない方は戸惑うかもしれませんが、インストールされる Windows 8 は既にセットアップが済んでいるものですので、慣れれば通常の Windows のセットアップより素早く、ストレス無くインストールできるようになると思います。
この記事では、「ターミナル」を使ったことがない方でも分かるよう、なるべく詳しく書いています。

VirtualBoxのインストール

私は、既に「VirtualBox」をインストール済みでしたが、まだインストールしていない方のためにインストール方法を書いておきます。

まず、VirtualBox のダウンロードページ にアクセスします。
「VirtualBox 4.3 for OS X hosts」の右の「x86/amd64」部分をクリックします。

Download VirtualBox

すると、Mac の「ダウンロード」フォルダーに「VirtualBox-4.3.0-89960-OSX.dmg」のようなディスクイメージファイルがダウンロードされるはずですので、それをダブルクリックします。

Finder VirtualBoxファイル

すると「VirtualBox」のいうウインドウが開きます。
赤丸で囲った「VirtualBox.pkg」アイコンをダブルクリックし、VirtualBox をインストールします。

VirtualBox

Modern.IEのダウンロード

Modern.IE のダウンロードページ を開きます。

Modern.IE のダウンロードページでは、

  • Windows XP – IE8
  • Windows 7 – IE9
  • Windows 8 – IE10
  • Windows 8.1 – IE11 Preview

のように、さまざまなOSとIEの組み合わせをダウンロードできますが、ここでは「Windows 8 – IE10」のダウンロード方法について解説します。
他の組み合わせのダウンロード・インストール方法はこれを参考に必要な部分を変更してください。

ページ中ほどにある [目的のOSを選択してください ▽] ドロップダウンリストで [Mac] を選択します。
その右の [仮想環境のプラットフォームを選択してください ▽] ドロップダウンリストで [VirtualBox(Mac用)] を選択します。

Modern.IE プラットフォームの選択: Mac

すると、その下にダウンロードできるOSとIEの組み合わせの一覧が表示されます。
今回は「IE10 – Win8」枠内の「Grab them all with cURL」をクリックします。

Grab them all with cURL

すると、「# 以下のコマンドをコピーして端末に貼り付け、すべての必須ファイルのダウンロードを開始してください」というモーダルウインドウが表示されます。
その下にある
「curl -O “https://az412801(中略).rar}”」
のようなコマンドをすべて(2行にわたっている場合は最後まで)選択し、command+C キーを押してクリップボードにコピーしておきます。

コマンドを選択し、コピー

control+space キーを押すか、メニューバー右端の虫眼鏡アイコンをクリックし、Spotlight を表示します。
Spotlight に「ターミナル」もしくは「terminal」と入力すると、「ターミナル」というアプリケーションがヒットするはずなので、return キーを押します。

Spotlight: ターミナル

すると、「ターミナル」というアプリケーションが起動します。
メニューバーや画面に表示されている文字や背景色は、環境によって異なります。

ターミナル

このまま先ほどのコマンドを使ってダウンロードした場合、ユーザーのホームフォルダーにファイルがダウンロードされてしまいますので、まずは「cd」というコマンドを使ってダウンロードフォルダーに移動します。

ターミナル上で、半角小文字で「cd Downloads」と入力し、return キーを押します。

ターミナル: cd Download

※ 今入力した部分が分かりやすいように、黄色の背景色をつけています。実際のターミナルでは黄色の背景色は表示されません。
※ $ より左側に表示されている文字列は、Mac につけられた名前とユーザー名です。環境によって表示される文字列は異なります。

エラー:「No such file or directory」と表示された時は

もし、ここで「No such file or directory」と表示された場合は、「cd」と入力し、return キーを押します。

その後、「cd Downloads」と入力し、return キーを押します。

ターミナル上で command+V キーを押し、先ほどコピーした
「curl -O “https://az412801(中略),3.rar}”」
のようなコマンドをペーストします。

ターミナルペーストしたコマンド

return キーを押すと、ダウンロードが始まります(数字が動きます)。

curl ダウンロード中

しばらく(10分〜数十分)経つと、ターミナル上の数字の動きが止まり、ダウンロードフォルダに3つほどのファイルができているはずです。

Webコーディングスクール 体験レッスン受付中

仮想PCファイルの結合・解凍

「.rar」ファイルは圧縮ファイルで、先頭の「.sfx」ファイルを実行すると、すべてのファイル(.sfx と .rar)が結合・解凍されて仮想PCファイルができあがります。

とはいえ、一般的な環境では Finder 上で「.sfx」ファイルをダブルクリックしても実行することができません。
ターミナル上で「.sfx」ファイルに実行権限をつけた上で実行する必要があります。

やり方ですが、まず Finder 上で「IE10.Win8.For.MacVirtualBox.part1.sfx」のような、拡張子が「.sfx」になっているファイルを選択し、return キーを押して command+C キーを押します(ファイル名がクリップボードにコピーされます)。

ダウンロードしたファイル名のコピー

次に、ターミナル上で「chmod +x 」と入力し(エックスの後に半角スペースが入ります)、command+V キーで先ほどコピーしたファイル名をペーストします。
※ 拡張子「.sfx」までペーストされていることを確認します。もし拡張子が含まれていない場合は、ファイル名の後に「.sfx」を追加します。

ターミナル: chmod

return キーを押します。一見何も起きていないように見えますが、「.sfx」ファイルに実行権限がついたはずです。

最後に、ターミナル上で「./」と入力し、command+V キーを押して
「IE10.Win8.For.MacVirtualBox.part1.sfx」のようなファイル名をペーストします。

ターミナル: .sfx の実行

return キーを押すと、数秒後に「IE10.Win8.For.MacVirtualBox.ova」のようなオレンジの立方体のアイコンができているはずです。

Finder: .ova ファイルができている

これをダブルクリックすると VirtualBox が起動し、「IE10 – Win8」という仮想PCが登録されます。
[□ すべてのネットワークカードのMACアドレスを再初期化] にチェックを入れ、[インポート] をクリックします。

VirtualBox: .ova のインポート

インポートが終わったら、VirtualBox のツールバーの [起動] をクリックし、Windows 8 を起動します。
既にセットアップは済んでいる状態ですので、通常の Windows のセットアップ作業(ユーザーアカウントの作成等)は必要ありません。

起動ボタン

Windows 8の設定

Guest Additionsのインストール

Mac と Windows のクリップボード共有やファイル共有には「Guest Additions」を仮想PCにインストールする必要があります。

仮想PCを表示した状態で、メニューの [Devices]→[Install Guest Additions…] からインストールします。

Install Guest Additions

その後仮想PCを起動し、仮想PCのウインドウがアクティブになった状態で、メニューの [Devices]→[Shared Clipboard]→[Bidirectional] にチェックを入れると、Mac で command+C キーでコピーしたものが、仮想PCでは control+V キーでペーストできるようになります。

Windows の Ctrl にあたるキーは、command ではなく control ですのでお気をつけ下さい。

Windowsキーの設定

Windows 8 では、Windows キーでウインドウモードとスタート画面を切り替えるためWindows キーを使う機会は多いと思いますが、初期設定では Windows キーに割り当てられているキーが無いため使うことができません。

Windows キーを使用するためには、「Oracle VM VirtualBox マネージャー」ウインドウをアクティブにし、Mac のメニューバーのアップルマークの右の [VirtualBox] をクリックして [環境設定…] を選択するか、command+,(カンマ)キーを押して VirtualBox の環境設定ダイアログを開きます。
※ 仮想PCウインドウの環境設定ではないのでお気をつけ下さい。

VirtualBox 環境設定

ツールの [入力] をクリックし、[仮想マシン] タブをクリックします。
[□ キーボードの自動キャプチャー] にチェックが入っていることを確認します。
[ホストキーの組み合わせ] の右のエリアをクリックし、キーボードの 右下の command キー を押します。

すると、[ホストキーの組み合わせ] の右のエリアに [右 ⌘] と表示されるはずです。

VirtualBox 入力設定

※この画面は VirtualBox 4.3 のものです。4.2 までとは設定画面が異なります。

日本語表示

インストールされる Windows は英語版ですが、Windows 8 では日本語はきちんと表示できています。
ただ、日本語版 Windows と違い、アルファベットは欧文フォント(アンチエイリアスあり)、日本語は「MS Pゴシック」と「MS P明朝」(アンチエイリアスなし)で表示されているようで、「メイリオ」は使用されていないように見えます。

画面の表示を日本語にしたい場合は、コントロールパネルから言語を追加し、変更することができます。
下記ページを参考にしてみてください。

[Windows 8] Windowsの表示言語を変更する… | Q&Aページ | サポート | VAIO | ソニー

なお、Moder.IE の Windows XP には日本語フォントは入っていないそうです。

Microsoftのサイトで、Windows XP向けにメイリオフォントが配布されています。

Windows XP 向け ClearType 対応日本語フォント をダウンロード

日本語入力

インストールされたWindows 8は英語版なので、初期設定では日本語入力できませんが、設定すれば MS-IME で日本語を入力できるようになります。
以下の記事に設定方法が書いてありました。

参考: 琴線探査: 「modern.IE」があればもうサイト検証のためだけにWindowsを買う必要は無くなったのか?Win8のVMをMacのVMWareに入れて検証してみた

私の場合は、Mac で日本語入力してこれをコピーし、Windows にペーストしています。

Chrome や Firefox のインストール

それぞれ Chrome や Firefox のダウンロードページからダウンロードし、インストールが可能です。

不要なファイルの削除

ダウンロードした「.sfx」と「.rar」は削除して構いません(容量が大きいので、削除しておくことをおすすめします)。

同様に、結合してできた「.ova」も削除して構いませんが(インストールされた仮想PCファイルは、「.ova」とは別に [ユーザーフォルダー/VirtualBox VMs] にあります)、Modern.IE は90日の使用期限で使えなくなってしまいますが、「.ova」をダブルクリックすれば簡単に再度インストールすることができます。

従って、「.ova」は外付けHDDなどに保存しておくと90日後再インストールの際に便利だと思います。

使用期限が切れた時には

Modern.IE の使用期限は90日と書かれていますが、実際は30日を過ぎると期限切れの警告が出るそうです。
30日を過ぎて警告が出た時は、Windowsで commnd(Windowsキー)+Rキー を押し、[Open] の右のテキスト入力エリアに「cmd」と入力して return キーを押し、コマンドプロンプトが起動したら「slmgr –rearm」と入力して return キーを押せばよいそうです。

コマンドプロンプト

90日を過ぎた場合は、起動から1時間経過するとシャットダウンするようになってしまいますが、IE確認程度ならそのままでも良いかもしれません。

期限が過ぎた仮想PCファイルをアンインストールするには、「Oracle VM VirtualBox マネージャー」ウインドウの「IE10 – Win8」を右クリックし、[除去] を選び、[すべてのファイルを削除] を選択します。

前述したように、「.ova」ファイルがあれば簡単に再インストールできます。

Mavericksでの注意点

Mavericks(10.9)では、VirtualBox 4.3 以降を使用する必要があります。
それ以前のバージョンをお使いの方はアップデートしてください。

まとめ

実は、私は Windows XP から Windows 8 へのアップグレード版(ダウンロード版)のライセンスを持っているのですが、VirtualBox に乗り換えようと、XP 上でアップグレードプログラムを実行しようとしたところ「このプラットフォームはサポートされていません」と表示されてしまいました…以前 Parallels で実行した時はすんなり実行できたのですが。

仕方ないので、Modern.IE を試したのですがあっさりインストールできて、Parallels でアップグレード版 Windows 8 を動かした時よりサクサクだったのでこちらでいいかなと思っています。

ここ数年は Mac でWeb制作しているため、Windows はIE確認だけのために購入していたのですが、もう Windows を購入することはないかな、と思います。

最近の記事

Web制作関連動画

メルマガ会員向けの「コーダーにも役立つ補完AI『Codeium』の使い方」の動画を期間限定で公開しています。
CodeiumはGitHub Copilotと似ていますが、CSSなども補完できて、今登録すれば無料で使えます。

メルマガでは、Web制作者のためのAI活用やWordPress関連の動画など、さまざまな特典があります。ご興味ある方は、ぜひメルマガにご登録ください。
Index