先日 iMac 2019のレビュー記事 に「Web制作にMacが適していると思っている理由は別の記事に書きます」と書いたところ結構反応があったため、この記事にまとめることにしました。
先に、Web制作のためにWindows PCを買った方のために説明しておきますが、Windows PCでもWeb制作はできますのでご安心ください。
ただ、私はいくつかの理由でWeb制作にはMacの方がメリットが多いと感じています。
私がMacでWeb制作するようになったきっかけ
私はWindows 95の頃からWindows PCをずっと使用していました。
Windows 95や98の頃はMacでWeb制作するメリットを感じておらず、多くのWebサイトを問題なく閲覧できるWindows PCがベストだと思っていました。
その後Windows XPやWindows Vistaが搭載されたPCをメインで使用していました。
しかし、出先で使用するためにWindows XPのネットブック(小型のノートPC)を購入し、Windows Updateで最初に入っていたIE6をIE8にアップデートしたところOSごと起動しなくなり、メーカーに問い合わせたところ「その現象は把握しているが解決方法は分からない。Windows UpdateでIEをアップデートしないで欲しい」と言われ諦めるしかなかった時に、Macをメインマシンにすることを真剣に検討し始めました。
Macはトラブルが少ない
Macの最も大きなメリットは「ハードウェア的なトラブルが少ない」ことだと思っています。
Apple純正の周辺機器でトラブルが少ないのはもちろん、他社の周辺機器を購入する場合もレビューで「Macで問題なく動作した」と複数の方が書いているものは問題なく動いています。
Windows PCの場合は、周辺機器を購入するときに「果たして自分のPCでは問題なく動くのだろうか?」と心配しながら購入していることが多かったです。
Macはトラブルが起きた時にやることが決まっている
次に、「Macはトラブルが起きた時にやることが決まっているので楽」ということが挙げられます。
具体的に言うと、もしMacの調子が悪くなったりトラブルが起きた場合、以下の手順で作業します。
- PRAMクリア
- 電源を入れた時に[command]+Rキーを押しっぱなしにするとMacがリカバリーモードで起動します。そこでディスクユーティリティを使用してMacintosh HDに[First Aid]という機能を使用してストレージに問題がないか調べ、自動修復
- SMCリセット
- それでもだめなら 0120-APPLE-1(0120-27753-1)に電話
大抵の場合はPRAMクリアやSMCリセットでトラブルは解決します。
もしバッテリーなどの部品の交換が必要な場合も、渋谷や銀座・表参道または全国にあるApple Storeで2時間ほどで部品を交換して済む場合が多いです。
(もちろん、部品によっては数日修理センターに出さなければいけない場合もあります)
Macならいろいろな環境が手軽に確認できる
「Web制作にはWindowsの方が良い」という方に話を伺うと、たいていの場合「Windowsの方が普及しているからWindowsで制作をするのが良いのだ」という方が多いですが、その意見は半分正しくもあり半分間違っていると私は思っています。
まず、MacでWeb制作を行った時にMacのブラウザーのみ確認してそれ以外の環境の動作確認を行わないのは問題外です。
しかし、Windowsさえ確認すれば良いというのも間違いだと思います。
所有していないiPhoneやiPadの表示を確認する
現代のWeb閲覧環境はPCよりもスマートフォンやタブレットの方が多いです。これは日本だけの場合も、全世界でもどちらでも共通です。
その時に、Macの場合はApple純正のiOSシミュレーターが利用でき、iPhoneやiPadの動作確認が行えます。
たとえば「iPhone 8を持っていてもiPhone Xは持っていない」とか「iPad Proは持っていない」などという方もいらっしゃるでしょう。
その時、Macが1台あればiPhone XやiPad ProのSafariの動作を確認し、センサーハウジングとよばれる画面の切り欠き部分で重要な文字やボタンが隠れていないかといった確認をすることができます。
Windowsの表示を確認する
次にMacでWindows環境の確認をする方法ですが、これはMicrosoftが動作確認用に無償のWindows 10やWindows 7の仮想PCを配布しています。
リンク: Free Virtual Machines from IE8 to MS Edge – Microsoft Edge Development
これを VirtualBox というオープンソースで無償の仮想PCアプリで動作させることでMac上でWindows 10やWindows 7が動作しIEやEdgeのようなWindows用のブラウザの確認ができます。
ただし、無償で配布されている仮想PCは「90日ごとにインストールし直さなければいけない」という制限があるため、私の場合はUSBメモリ版のWindows 10を購入し、Parallels Desktopという有料の仮想PCソフトウェアを使用してMac上でWindows 10を動作させています。
Parallels Desktopは、無料のVirtualBoxよりもパフォーマンスが高く、より快適にWindowsが動作します。
後はAndroid環境の確認がしたければ、Android Studioと呼ばれる開発者向けのツールを使えばAndroid環境の確認もできます。(これはWindowsでもできます)
ただ、一般的なHTMLとCSSでできたシンプルなWebサイトであれば、Google Chromeの開発者ツールを使用して動作確認すればAndroid用のGoogle Chromeとほとんど動作が変わらない場合が多いです。
つまり、Macが1台あればMacの環境だけではなく、Windowsやスマートフォン・タブレットなどさまざまな環境を確認することができます。
ちなみに、macOSはApple製のコンピュータ向けに無償で配布されているOSです。
他社製のコンピューター上で仮想PCなどを使用してmacOSを動作させることは、Appleのライセンスに違反します。
Sketchが使える
日本ではWebデザイン用のアプリといえばAdobe CCを使用している方が多いと思います。
しかし、世界ではSketchとFigmaというツールを使用してデザインしている方が多いという統計があります。
これらは、日本でも徐々に普及しています。
関連記事: Most Popular UI Design Tools – 2018 Design Tools Survey – Uxtools.co
そのSketchは、Mac専用のアプリケーションでWindows版の発売予定はありません。
高度なテキスト編集ができる
Macでは多くのテキストエディターで[control]キーを使用した高度なテキスト編集ができます。
詳しくは以下の記事で解説しています。
関連記事: Macの基礎の基礎: テキスト入力と編集とテキストエディット編 | Stocker.jp / diary
ただし、Windows環境も良くなってきている
昔はWindowsでデザインするときにさまざまな問題がありました。
たとえば「OSに入っているフォントは商用利用しても良いのかMicrosoftに問い合わせても不明瞭な答えしか返ってこない」といった問題がありました。
また、日本語テキストの表示が汚いといった問題もありました。
しかし、最近はOSに標準で入っているフォントは商用利用可能であることか確認されており、テキストの表示もMacやAndroidに比べると綺麗とは言えませんが、4KディスプレイのノートPCなどピクセル密度が高いPCが増えてきたことで、以前ほどは気にならなくなりました。
関連: Windowsの標準フォントってどこまで“タダ”なの? ~最新の状況をまとめたブログ記事が人気 – やじうまの杜 – 窓の杜
また、Adobe XDやFigmaはWindowsでも動作します。
まとめ
Web制作でMacを使う場合のメリットのいくつかを紹介しました。
このほかにも「標準でさまざまな辞書が入っていて素早く辞書が引ける」とか「メニュー項目のキーボードショートカットを簡単に変更できる」などいろいろなメリットがあります。
「MacはWindows PCよりも価格が高い」という方もいますが、同程度の性能、たとえばディスプレイの色域やSSDの速度まで揃えて比較したらそれほど変わらないと思いますし、Macのほうが売却した時に高く売れることが多いので、私はそこまで変わらないかなと思っています。